うむ。なるほど。

『子供の鍛錬場』は、基本的に貴族の子供に解放されているらしい。
俺が行ったときは誰もいなかったけど、と思っていたら、追い出されていただけのようだ。
俺の知らない場所で、俺の権力(ちから)が振り翳されている。
ユハって、ナチュラルに権力(ちから)振り翳すよね。まぁ、良いけど。

よくよく聞けば、子供たちに開放されている時間が決まっているようなので、俺はその時間を避けて行くことになった。
子供たちの利用時間は、十時から十五時くらいらしい。
十五時以降で使用しようかと思ったのだが……

「他の子らが使用した後は、一度清掃を入れますので、利用時間を一時間ほど短縮致します」

と、当たり前のように言われたので、全力で訂正した。

七時に起きるので、八時くらいには朝ご飯も食べ終わっているし、その後に行く事にした。
そうなると、掃除は子供たちの利用時間が終わった後だけで済む。
ちゃんと確認した。一応、俺が利用する前に点検作業はされるとの事だけど、それはまぁ、ごめんだけどお願いします。

こうして、俺の日課が決まった。
朝七時起床。朝ご飯。
八時から九時過ぎまで『子供の鍛錬場』で鍛錬。
自室に帰って十時からルビーラの自主練。週に一度はヒルア先生の指導(レッスン)
十一時半に昼ご飯。
一時にカツィの部屋にルビーラを弾きに行き、ついでにリリシアに字の練習を見てもらう。
三時からはお勉強の時間。
四時から六時までは特に何もない自由時間で、六時に夕ご飯。
七時から寝る準備を始めて、夜九時就寝。

これほど健康的な、充実の毎日を送っている人が他にいるだろうか。反語。

唯一問題なのは、ユハが鍛錬出来ているのかという話だ。
俺の日課がこうなる前は、俺が起きて朝ご飯を食べた後から、昼ご飯を食べる前までがユハの鍛錬の時間だった。
ルビーラを練習する時に楽譜を捲る必要も特になかったので、ルビーラを始めてもこの時間はユハの鍛錬になっていた。はず。
それが、『子供の鍛錬場』に行く事になってしまったのでユハもついて来てくれる事になった。流石に、俺一人でアスレチックさせる訳には行かないだろう。

因みに、俺が後宮に行っている間、ユハは後宮に入れないのに後宮の出入り口でずっと待っていた。なんか、それはルールとして決まっているらしい。
この人が入り口に立っていたら、その人の仕えている人が後宮の中にいるよっていう合図になるとか。

という事で、ユハは俺が寝た後に鍛錬していたらしい。
信じられない。馬鹿なんじゃないか。
こんな非効率的な事を許す俺ではない。

「ユハ。俺の昼ご飯後から夕ご飯前までは、ユハの自由時間にする」

ご飯を給仕するのは、一番信頼している従者と決まっているらしいので、そこはユハにお願いするが、それ以外は別にユハじゃなくても問題ないはずだ。
約五時間の自由時間だ。存分に鍛錬に励んでいただきたい。

「いえ、しかし……」

ユハとしては、勉強の時間も俺に色々教えたいし、後宮から自室に戻るのも自分が送りたいと思っているのだろう。あと、自由時間に何をしているかも知っておきたいのかも知れない。
確かに、ユハに付いて貰うまでは結構やんちゃしていた気もする。
いたずらとかしていたな。忘れておったわ。

「俺が鍛錬場に居る時は、ユハが必要だし、ルビーラを習っている時もユハに側にいて欲しい。そうしたら、その時間しかないだろ?寝不足のユハとか見たくないよ」

そう。元気なユハが、俺には必要な訳ですよ。
にこりと微笑めば、ユハも微笑んで了承してくれた。
うむうむ。

部下の体調管理も、上に立つ者の大事なお仕事ですからね。