うむ。なるほど。

お前、喰う気か?!
と驚いたが、魔力の話だそうで。
この子は魔力がゼロのようだ。

魔力が豊富だと褒められてきたことを考えると、魔力が無いというのは確かに大変そうだとは思うけど、産んだ子を拒絶するほどなんだろうか。
とりあえず、ムレが興奮しないようにと赤ん坊はムレから離された。

と言うか、ムレはムレで出血が止まらなくて大変だった。
微弱陣痛だったからか、弛緩出血(しかんしゅっけつ)の勢いが凄まじい。
直接、麻酔もなしに縫い合わせていたのは、見てるだけで痛かった。
ムレも叫びまくっていたが、縫わずに放っておいたら、出血多量になってしまう。麻酔なんてかけて、効くまで待っている時間もないだろうし。

頑張ってくれと思いながら、俺は移動された赤ん坊について来た。
まず、綺麗にされて、何やら、色々と検査していた。
検査が終わると直ぐに、おむつを装着され、既に待機していた乳母がはだけて乳を飲ませ始めた。
仕事が早い。

それにしても、最初のオギャーはちょっと感動的だった。まさに、誕生の第一声。
前世では何人も子供を認知はしたが、誕生の瞬間を見たのは初めてだ。
ずっと泣き叫び続けるのかと思ったら、そうではなく、乳母に抱かれるとフニャフニャと可愛い声を出して。本当に、赤ん坊というのは可愛いの塊だ。

ちょっと安心した俺は、ムレの様子を見に戻ることにした。
ムレは身体を綺麗にして病室に移って、鮫鮫(さめざめ)と泣いている。
まさに、絶望と言った感じか。

「ムレ様。第二王子の誕生は、陛下にお伝えいたしました。ただ、陛下は今、お手が離せないとのことで、夜にはお越し下さるようです」

ミームは、頑張って産んだムレにも産まれた子にも会いに来ないのか。
俺が産まれた時とは大違いだな。
なんか、悲しい。

ムレは、何も言わなかった。

「今は、お身体をおやすめ下さい」

侍女の言葉に、ただ頷くだけだった。

ムレが眠りについたので、俺は再び赤ん坊の部屋へと移動した。
って言うか、母親と赤ん坊の部屋が割と遠いんだけど。何故?
ムレに赤ん坊の声が聞こえないようにという配慮なんだろうか。
俺が産まれた時は、ずっとリルと同じ部屋に寝てたよな。

俺が産まれた時と対応がまるで違っていて驚きだが、医者達はちゃんと頑張っていたし、乳母たちも丁寧に対応していたから、まぁ、両親が冷たくても立派に育つだろう。
なんて思いながら、赤ん坊の部屋に行ってみたら、赤ん坊も眠っていた。

俺も産まれて来る時、めちゃくちゃ痛くて、必死に叫んで疲れてたしな。
きっと、あの赤ん坊も、ぎゅうぎゅう引き絞られて疲れたんだろうな。
なんか、見てただけで、俺も疲れた。

一つの命が誕生する。
こんな感動的なことなら、前世でも一度は見てみればよかった。