「大変ご無沙汰しております、陛下。本日は、ようやく陛下の御慈悲に縋れると我ら一同、首を長くしてお待ち申し上げておりました。……ですが、まさかこのような場所へ急にお召しになろうとは。陛下は、私に一体何をお求めになっておられるのでしょうか」
扉から入って来た、目を見張るほどの美人さんは、超絶怖いお人だった。
ミームの目の前に平伏しているにも拘らず、その場を支配するような、ただならぬ威圧感がある。
一国の王たるミームもその冷徹なオーラに圧倒されたのか、「あ、いや、その、えと、あの……」と、ただただ言葉にならない弁明を繰り返すだけだ。カッコ悪い。
「愚昧な私などが陛下のお心を推し量れる道理もございませんが、このような場にお呼びになられた以上、それ相応の理由をご提示いただけるものと思っておりました。よもや、何の理由もなくお呼びになられたわけではありませんでしょうね」
トゲトゲと畳みかける美人さんは、一切頭を上げる事なく床に向かって話し続ける。
部屋の中にいたほとんどの騎士がミーム同様オロオロして使い物にならなかったのだが、ミームの側にいた責任者っぽい騎士が、そっと耳元で「陛下。ラエリア様に御許可を……」と囁いた。
どうやら、ミームが許可を出さないと頭を上げられないらしい。
慌てて許可を出して、顔を上げた美人さんは、やっぱり息を呑むほどの美人だった。
「あ~、すまない。ご無沙汰であったのは、その、息子が可愛すぎたのだ。あの、その、あれだ。こないだも二匹目の召喚獣と戯れている息子があまりに可愛すぎて、気が付くと時間がな。その前にも、必死に階段を上ったり下りたりしているのを見ていたら、ハラハラして時間が経っていたのだ。来るつもりではあったのだが、その度に、その、ルイーナが可愛すぎたのだ。すまん!」
全部、可愛すぎる俺のせいだな。
って、言い訳が下手にも程があるだろ。子供が可愛すぎて後宮を放置とか。贅沢か。
「それで……その自慢をするために、このような場所にお連れになったのですか? 魔力玉が反応すると分かり切っているのに?」
ミームの不器用さを笑いながら見ていたら、美人さんに鋭く睨まれた。
思わずビクッとして、目の前にあったアイッシェンの尻尾を掴み、そのまま口に銜えてガブッと甘噛みしてしまった。すまん。
とばっちりを受けたアイッシェンも「キャインッ!?」と猫のくせに犬のように鳴いてビクッていた。
ってか、この美人さん、隠蔽魔法をかけた俺の姿を完全に捉えて睨んできているんだが。まだ魔法は解けてないはずなのに、なぜ分かる?!
「ん? ルイーナは今日も可愛く王宮の中を探検しているはずだが」
ミームには見えていない。この美人さんは俺よりも凄い魔力の持ち主という事なのか。
ずっと睨んでくる美人さんが怖すぎて、俺はアイッシェンの尻尾を手放せずに固まる。
アイッシェンは美人さんに興味がないようで、特に何の反応もない。ちょっと迷惑そうにしているが、俺が怯えているため大人しく尻尾を掴ませてくれている。
「なるほど、隠蔽魔法ですか。陛下、少々失礼いたします」
美人さんは、とても美しい所作で立ち上がり、ずんずんと俺に近付いて来た。
俺に近付くという事は、ミームにも近付くという事なので、部屋の中にいる騎士達が緊張したのが分かった。数人は腰の剣に手を掛けていた。恐ろしい。
ただ、ミームからちょいと離れて座った俺に向かって来たので、途中から緊張は別の物に変わっていた。隠蔽魔法で何か得体の知れないものがそこにいる、という類の緊張だ。
扉から入って来た、目を見張るほどの美人さんは、超絶怖いお人だった。
ミームの目の前に平伏しているにも拘らず、その場を支配するような、ただならぬ威圧感がある。
一国の王たるミームもその冷徹なオーラに圧倒されたのか、「あ、いや、その、えと、あの……」と、ただただ言葉にならない弁明を繰り返すだけだ。カッコ悪い。
「愚昧な私などが陛下のお心を推し量れる道理もございませんが、このような場にお呼びになられた以上、それ相応の理由をご提示いただけるものと思っておりました。よもや、何の理由もなくお呼びになられたわけではありませんでしょうね」
トゲトゲと畳みかける美人さんは、一切頭を上げる事なく床に向かって話し続ける。
部屋の中にいたほとんどの騎士がミーム同様オロオロして使い物にならなかったのだが、ミームの側にいた責任者っぽい騎士が、そっと耳元で「陛下。ラエリア様に御許可を……」と囁いた。
どうやら、ミームが許可を出さないと頭を上げられないらしい。
慌てて許可を出して、顔を上げた美人さんは、やっぱり息を呑むほどの美人だった。
「あ~、すまない。ご無沙汰であったのは、その、息子が可愛すぎたのだ。あの、その、あれだ。こないだも二匹目の召喚獣と戯れている息子があまりに可愛すぎて、気が付くと時間がな。その前にも、必死に階段を上ったり下りたりしているのを見ていたら、ハラハラして時間が経っていたのだ。来るつもりではあったのだが、その度に、その、ルイーナが可愛すぎたのだ。すまん!」
全部、可愛すぎる俺のせいだな。
って、言い訳が下手にも程があるだろ。子供が可愛すぎて後宮を放置とか。贅沢か。
「それで……その自慢をするために、このような場所にお連れになったのですか? 魔力玉が反応すると分かり切っているのに?」
ミームの不器用さを笑いながら見ていたら、美人さんに鋭く睨まれた。
思わずビクッとして、目の前にあったアイッシェンの尻尾を掴み、そのまま口に銜えてガブッと甘噛みしてしまった。すまん。
とばっちりを受けたアイッシェンも「キャインッ!?」と猫のくせに犬のように鳴いてビクッていた。
ってか、この美人さん、隠蔽魔法をかけた俺の姿を完全に捉えて睨んできているんだが。まだ魔法は解けてないはずなのに、なぜ分かる?!
「ん? ルイーナは今日も可愛く王宮の中を探検しているはずだが」
ミームには見えていない。この美人さんは俺よりも凄い魔力の持ち主という事なのか。
ずっと睨んでくる美人さんが怖すぎて、俺はアイッシェンの尻尾を手放せずに固まる。
アイッシェンは美人さんに興味がないようで、特に何の反応もない。ちょっと迷惑そうにしているが、俺が怯えているため大人しく尻尾を掴ませてくれている。
「なるほど、隠蔽魔法ですか。陛下、少々失礼いたします」
美人さんは、とても美しい所作で立ち上がり、ずんずんと俺に近付いて来た。
俺に近付くという事は、ミームにも近付くという事なので、部屋の中にいる騎士達が緊張したのが分かった。数人は腰の剣に手を掛けていた。恐ろしい。
ただ、ミームからちょいと離れて座った俺に向かって来たので、途中から緊張は別の物に変わっていた。隠蔽魔法で何か得体の知れないものがそこにいる、という類の緊張だ。

