ピーーーーピーーーーピーーーー!
悠々とミームに続いて庭を渡ろうとしたその瞬間、物凄く大きな警戒音が周囲に響き渡った。
驚きのあまり、その場で「だるまさんが転んだ」のようにピキッと不自然なポーズで固まるミーム。そして、素早くミームを取り囲んで周囲を警戒する騎士達。
こっちを向いて囲む騎士とあっちを向いて囲む騎士達の足元で、俺は危うく踏み潰されるところであった。ギリギリのところでアイッシェンに銜えてもらって、なんとか命からがら助け出してもらえた。
マジでありがとう、お前は間違いなく俺の命の恩人だよ、アイッシェン。今日は特別に、望み通り顔中を舐め回されてあげよう。
ちょっとした騒ぎでプチパニックになっていたら、ミームを取り囲んだ一人の騎士が「失礼します」と声をかけて、ミームの身体を容赦なくパンパンと叩き始めた。
一国の王たるミームは、「いや~、何でかなぁ~」とかトボけながら、されるがままになっている。
「おかしいですね。不審な魔力の残滓は確認できません。ですが、防犯用の『魔力玉』が確かに反応しておりますので、大変申し訳ありませんが、控えの間にて検査をさせて頂きます」
結構フランクな感じで、騎士様はミームを近くの検査小屋へと案内した。
ミームもこうしたトラブルに慣れているのか、「ほいほ~い」と二つ返事で軽く応じている。
あれだけ盛大に警報音を鳴らしたくせに、どいつもこいつも特に緊迫感なく処理していく。
俺はアイッシェンの背中の上で、そのまま騎士達の後をコッソリついていくことにした。
「魔力玉は反応しておりますが、『魔力板』の精密検査に反応はありません。したがって、恐らく陛下のお身体からの魔力ではないと思われます。となると、陛下以外の方の魔力という事になりますが……。この場にいる騎士の中に魔力を持つ者もおりませんし、我々ではこれ以上の原因を特定するのは不可能かと存じます。いかが致しましょうか。」
小屋に入るなり、騎士はさっきまでの気安さが嘘のようにミームの前に恭しく跪いた。ミームのほうも、さっきまでのトボけた態度とは違って、纏うオーラが滅茶苦茶に偉そうだ。部屋の中央に鎮座する、物凄い豪華な二人掛けの最高級ソファに悠々と腰掛けている。
っていうか、一般の騎士って魔力が無いんだ。この世界の人間は全員が当たり前に魔力を持っているものだと勝手に思い込んでいた。
ミームは腕を組んで「うむむ……」と難しそうな顔で唸っている。
何をそんなに悩んでいるのかは知らんが、俺はミームの隣の空いたスペースに、アイッシェンと一緒にちゃっかり腰を降ろした。もちろん隠蔽魔法はフル稼働させたままなので、誰の目にも見えていないはずだ。
「いや、魔術長を呼ぶほどのことではないだろう。ラエリアをここに呼んでくれ。久々に行くと約束していたのに、これ以上待たせるのも悪いしな。あの子に原因を探ってもらったほうが早い」
ミームはどうやら、後宮から誰かをこちらに呼び寄せる様だ。
行くと約束していたという事は、間違いなく後宮の女。
その命令を受けて部屋を辞していった若い騎士が、何故か顔を耳まで真っ赤に染めていた所を見るに、相当な美女に違いない。
がぜん楽しみになってきた俺は、待っている間にアイッシェンに約束のご褒美をあげることにした。
嬉々として俺の顔だけでなく手や足までベタベタに舐めまわしてくるが、さすがに度が過ぎて心底鬱陶しくなってきたので拒絶。
魔力を感知されると良くないようなので、念のためちょっとずつ身体を綺麗に浄化していく。さっぱりとした頃、ようやく部屋の扉が開いた。
その間、ミームは部屋に残った護衛の騎士と普通に雑談を交わしていた。
その雑談の主な内容は――「俺の可愛すぎる息子の自慢」だった。
そう、今まさに隣のソファに座って隠蔽魔法で隠れている、俺の自慢だ。
至近距離で聞かされる盛大な親バカ発言の数々に、俺はただただ、顔から火が出るほどのいた堪れなさに悶絶するしかなかった。
悠々とミームに続いて庭を渡ろうとしたその瞬間、物凄く大きな警戒音が周囲に響き渡った。
驚きのあまり、その場で「だるまさんが転んだ」のようにピキッと不自然なポーズで固まるミーム。そして、素早くミームを取り囲んで周囲を警戒する騎士達。
こっちを向いて囲む騎士とあっちを向いて囲む騎士達の足元で、俺は危うく踏み潰されるところであった。ギリギリのところでアイッシェンに銜えてもらって、なんとか命からがら助け出してもらえた。
マジでありがとう、お前は間違いなく俺の命の恩人だよ、アイッシェン。今日は特別に、望み通り顔中を舐め回されてあげよう。
ちょっとした騒ぎでプチパニックになっていたら、ミームを取り囲んだ一人の騎士が「失礼します」と声をかけて、ミームの身体を容赦なくパンパンと叩き始めた。
一国の王たるミームは、「いや~、何でかなぁ~」とかトボけながら、されるがままになっている。
「おかしいですね。不審な魔力の残滓は確認できません。ですが、防犯用の『魔力玉』が確かに反応しておりますので、大変申し訳ありませんが、控えの間にて検査をさせて頂きます」
結構フランクな感じで、騎士様はミームを近くの検査小屋へと案内した。
ミームもこうしたトラブルに慣れているのか、「ほいほ~い」と二つ返事で軽く応じている。
あれだけ盛大に警報音を鳴らしたくせに、どいつもこいつも特に緊迫感なく処理していく。
俺はアイッシェンの背中の上で、そのまま騎士達の後をコッソリついていくことにした。
「魔力玉は反応しておりますが、『魔力板』の精密検査に反応はありません。したがって、恐らく陛下のお身体からの魔力ではないと思われます。となると、陛下以外の方の魔力という事になりますが……。この場にいる騎士の中に魔力を持つ者もおりませんし、我々ではこれ以上の原因を特定するのは不可能かと存じます。いかが致しましょうか。」
小屋に入るなり、騎士はさっきまでの気安さが嘘のようにミームの前に恭しく跪いた。ミームのほうも、さっきまでのトボけた態度とは違って、纏うオーラが滅茶苦茶に偉そうだ。部屋の中央に鎮座する、物凄い豪華な二人掛けの最高級ソファに悠々と腰掛けている。
っていうか、一般の騎士って魔力が無いんだ。この世界の人間は全員が当たり前に魔力を持っているものだと勝手に思い込んでいた。
ミームは腕を組んで「うむむ……」と難しそうな顔で唸っている。
何をそんなに悩んでいるのかは知らんが、俺はミームの隣の空いたスペースに、アイッシェンと一緒にちゃっかり腰を降ろした。もちろん隠蔽魔法はフル稼働させたままなので、誰の目にも見えていないはずだ。
「いや、魔術長を呼ぶほどのことではないだろう。ラエリアをここに呼んでくれ。久々に行くと約束していたのに、これ以上待たせるのも悪いしな。あの子に原因を探ってもらったほうが早い」
ミームはどうやら、後宮から誰かをこちらに呼び寄せる様だ。
行くと約束していたという事は、間違いなく後宮の女。
その命令を受けて部屋を辞していった若い騎士が、何故か顔を耳まで真っ赤に染めていた所を見るに、相当な美女に違いない。
がぜん楽しみになってきた俺は、待っている間にアイッシェンに約束のご褒美をあげることにした。
嬉々として俺の顔だけでなく手や足までベタベタに舐めまわしてくるが、さすがに度が過ぎて心底鬱陶しくなってきたので拒絶。
魔力を感知されると良くないようなので、念のためちょっとずつ身体を綺麗に浄化していく。さっぱりとした頃、ようやく部屋の扉が開いた。
その間、ミームは部屋に残った護衛の騎士と普通に雑談を交わしていた。
その雑談の主な内容は――「俺の可愛すぎる息子の自慢」だった。
そう、今まさに隣のソファに座って隠蔽魔法で隠れている、俺の自慢だ。
至近距離で聞かされる盛大な親バカ発言の数々に、俺はただただ、顔から火が出るほどのいた堪れなさに悶絶するしかなかった。

