あの夏、愛を教えてくれた君


「あのー、家って……」
「ここで寝たんだから、家みたいなもんじゃない?」


祭り終わりの帰宅ラッシュに巻き込まれずに済んだのはいいとして、てっきり別荘に帰るんだと思っていたけど、来たのは私たちが出会った砂浜。

場所もほぼ同じ。そして、昨日の夜と同じで、月明かりが海面に反射して、波間が淡く輝いている。

明人は着替えてくると言って、一旦別荘に戻って行った。

人って、一日で変われるものなのかな。私が異常なだけなんだろうか。

またもや沈黙に居た堪れなくなって、イヤホンを付けて音楽を流し、海を眺める。

すると、肩を叩かれて顔をあげると、今朝と同じ服を来た明人が隣に腰を下ろした。


「昨日も耳につけてたよね?それは?」
「イヤホン。耳につけると、スマホの音が聞こえるんだよ。聴く?」
「うん。………これは?」
「音楽。いい曲でしょ?」
「うん」


起きるのが早かったからか、音楽を聴いてると段々と瞼が落ちてきて、寝るのが早いという時間から私は眠りに落ちた。


「ありがとう、千夏。────だよ」


最後の方はなんて言ったのか聞き取れなかったけど、「ありがとう、千夏」という言葉だけは聞き取れた。