「俺たちが現実に嫌気がさして逃げ回ってた時……おじさんは命削ってあの店にいたんだぞ!?俺たちが勝手に傷ついて、勝手に救われて、満足して帰っていったあの時間も、おじさんの命は消えかけてたんだ!!」
律の声が、波音に掻き消されそうになりながら激しく震える。
「俺たちのもがいてた時間なんて……人の命の重さに比べたら、ただの我が儘で、何の価値もない、無駄な時間じゃねぇか……」
不甲斐なさ。
やるせなさ。
現実の重さ。
高校生の私達が抱えていた悩みなんて、命の前にはあまりにもちっぽけで、身勝手だったのかもしれない。
おじさんには、まだ何も返せていない。
お礼すらも言えていない。
胸の奥から、ドロドロとした熱い感情が喉元まで駆け上がってきた。
不器用で、身勝手で、格好悪くて、だけど確かに生きている私たちの存在。
おじさんが自分の命を削ってまで守ってくれた、私たちの命の重さ。
「うおおおおおおおあああああああーーーーーーっっっ!!!!」
律は夕焼けに染まる桜島に向かって、喉が破けるくらいの声で叫んだ。
「あーーーーーーーーっっっ!!!!!」
私も、溢れ出る涙も、鼻水も拭わずに、体中の空気をすべて吐き出すように叫び続けた。


