17歳の私にとって、大人は自分を守ってくれる完璧で頑丈な存在だと思っていた。
だけど違った。
おじさんも、痛みに耐え、死の恐怖と戦いながら、それでも私たちに「逃げるのは、自分を大切にする立派な選択だ」なんて温かい言葉をくれていたんだ。
おじさんのベッドの脇で、私は拳を握りしめて震えていた。
報告したかった。
「私だけの音で見返したよ」「九州大会に行くよ」って、それで、褒めてほしかった。
それなのに、自分のことばかりで、おじさんが命を燃やしていたことにすら気づけなかった。
自分たちの青くさい葛藤や「自分探し」が、急に恥ずかしくなって、ものすごく怖かった。
津波のように押し寄せてくる自分のわけのわからない感情が恥ずかしくなって、私は逃げ出すように病室を飛び出した。
驚いた律が、松葉杖を必死について追いかけてきたのがわかった。
だけど私は止まることなく走り続け、夕暮れの海岸へと向かった。
目の前には、西日に赤く染まる錦江湾と桜島。
激しい潮騒の音。
防波堤の上に辿りつき、私は握りしめた拳で自分の太もも何度も叩いた。
怒りと悔しさで呼吸も荒くなる。
私たち……なにやってんのよ……。
なんで、こんなことになって……。
溢れる涙がポロポロ頬を伝っては、強い潮風に飛ばされていく。
そんな私の隣で、律が砂浜に向かって怒りをぶちまけるように叫んだ。
「くそっ……!なんなんだよ、これ!!」
律は足の痛みを忘れたように力任せに足元の石を蹴りつけ、両手で顔を覆った。


