あの夏、残り3%の君と、世界でいちばん綺麗なサボり方をした


私も律と小さく頭を下げ、男性二人の元へ近づく。

「……あの、おじさんは……!?」

挨拶なしに近づく私たち。

突然のことに、息子さんたちは驚いたように目を丸くした。
だけど、私の格好や、律の足元を交互に見つめ、ハッと息を飲んだ。

「……もしかして……あおばちゃんと、律くん?」
「え……?」

私たちの名前が出てきて、私は律と目を見合わせた。

「やっぱり、そうか。よかった。一度会いたいと思っていたんだよ。でも、どうしてここがわかったの?」

長男らしき男性から聞かれ、私は呼吸を整えようと深呼吸してから答えた。

「私たち、またおじさんに会いたくなってあの駄菓子屋に行ったんです。伝えたいことがあって。そしたら、臨時休業の張り紙がしてあって……」
「………」
「ちょうど出てきた隣のおばさんから、おじさんが倒れたってことを聞いて……。それで……」

気が動転していたこともあって、言いたいことがうまく言葉にできなかった。
それでも、息子さん二人はきちんと理解してくれたようだった。

「親父から聞いてたよ。先月、土砂降りの日にうちに泊めた高校生がいるって……。また、親父に会いに来てくれたんだね」
「はい……で、でも、私たち、おじさんがこんなことになってるなんて思わなくて……。その……おじさんには、会えますか?」

私が聞くと、長男と思われる男性が一度病室に視線を向けた。

「今ね、看護師さんが親父の身体をふいてくれているから、もう少し待ってね」

私は早くおじさんに会いたい気持ちをグッと飲み込み、小さく頷いた。

「親父、喜ぶだろうなぁ。君たちがここまで来てくれてさ。俺たちもなかなか実家に帰れてなかったんだけどさ、たまに連絡を入れたら、ずっと君たちのことを話していたよ」
「え……どんなことをですか?」
「うーん、何度も繰り返し言っていたのは、『あの子たちの真っ直ぐな目が忘れられない』かな」

真っ直ぐな、目……?

「『何かに悩んで居場所がなくなって、ここまで逃げてきたって感じだったけど、あの子たちの目にはなんか強さを感じた』って。『大きな罪悪感を抱えながらも、きちんと自分たちの足で立ち上がろうとしてた』って。そして、『若い頃の、お前達にそっくりだった』って言ってたよ」

おじさんが……そんなことを。

「まぁ、今はもう、ちょっと意識が戻らなくなってしまったけど、まだ話せてたときは病室でも、何度も何度も嬉しそうに君たちの話してたんだ」


意識が戻らないって……。
そんな……。