あの夏、残り3%の君と、世界でいちばん綺麗なサボり方をした


取り残された空き教室。
律は私の手を絶対に解こうとせず、顔を真っ赤にしたまま、震える声でボソッと呟いた。

「……なんでアイツの前でそんな顔してんだよバカ」
「……そ、そんな顔って、どんな……」
「その顔だよ!他の男に期待させるようなことすんなバカ」
「ば、バカバカって……言い過ぎ」

私が口ごもって言うと、律はもうそれ以上何も言わず、床に投げ捨てた松葉杖を足を引き摺りながら取りに行った。
心臓が壊れそうなくらい早鐘を打つ。
どうしてくれるのよ……。
こんなに好きが加速してるの、律は知らないでしょ。
それなのに、勝手に私の気持ち乱すの、やめてほしい……。
心臓、もたないよ……。

先輩からの予期せぬアプローチと、急に引き寄せられた律の温もり。
息の仕方を忘れたかのように、苦しくなる。

とにかく、今は、最後のオーディションに集中だ。