両親たちの呆然とした視線を背に受けながら、私と律はそれぞれの玄関を開けた。
家に入ると、静まり返ったリビングが私を押し潰しそうだった。
お母さんはソファに座り、赤く腫らした目で私を見つめていた。
覚悟を決めて「ごめんなさい」と口を開こうとした瞬間、お母さんの震える手が私の頬をそっと包み込んだ。
「あおば……ごめんね、本当に……ごめん」
怒号ではなく、絞り出すような謝罪だった。
お母さんはボロボロと涙をこぼしながら、私を抱きしめた。
「今、あなたの叫びを聞いて……胸が引き裂かれそうだった。『あなたのため』って言いながら、私は自分の安心を押し付けてたのね。コンクール中にあなたが突然いなくなったって聞いた時、怒りより先に『どうしてこの子の苦しみに気づけなかったんだろう』って……お母さん、後悔した。壊れるまで追いつめて、本当にごめんなさい……」
お母さんの涙が私の肩を濡らす。
お母さんもまた、親としての恐怖や焦りと戦い、一人で苦しんでいたんだね。
「ううん……私ね、お母さん。逃げてよかったって思ってる」
私は涙を拭い、お母さんの背中に手を回した。
