「足を怪我してサッカーもまともにできないくせに、人様の娘さんを勝手に連れ回してどこに行っていたんだ!成績も落ちる一方だというのに、どれだけ親の顔に泥を塗れば気が済むんだ!!」
自分の失敗や期待外れをすべて律のせいにする、冷酷な言葉のナイフ。
「違う……!違います!律は、私を連れ出したんじゃない!私が、私が行きたいって――」
怒りと悔しさで視界が涙で滲み、私は叫びながら律とお父さんの間に割って入ろうとした。
だけど、その瞬間。
松葉杖をついているはずの律の手が、驚くほど器用に、そして力強く私の腕を掴んで制した。
「あおば、いい」
律の声は低く、けれどどこまでも静かだった。
叩かれた頬を赤く腫らし、乱れた前髪の間から覗く瞳には、昨夜まで見せていた逃げ場のない弱さなんてどこにもなかった。
私を自分の背中に隠すようにして一歩前へ出たその背中は、どんな時よりも大きくて、壊れそうなほど優しくて……たまらなくカッコよかった。
「親父」
律は、おじさんの目を逃げずに真っ直ぐに見据えた。
近所の人の視線が刺さるのも構わず、律は喉を震わせて自分の本音を叩きつける。
