あの夏、残り3%の君と、世界でいちばん綺麗なサボり方をした


律はハッと小さく息を吐き、自分の右足のギプスを見つめた。
クールなエースの仮面が完全に剥がれ落ち、幼い頃のような脆くて弱々しい表情が顔を出す。

「……ああ、まぁ。神宮で祈ってたのはさ……自分の情けなさを許してほしいってこと。本当はさ……ちょっとホッとしてんだ。怪我をして、全治一ヶ月だって言われてさ。ああ、俺、これで試合に出なくて済むのかって……。自分が思い通りにプレーできないのを、疲労骨折のせいにして、堂々と逃げられるんだって、ちょっと思った」

ぽつり、ぽつりと、溢れ出すように吐き出される律の告白。

「ほら、親父にも言われてたじゃん?成績のこと……。サッカーで食っていけるわけじゃないんだから、部活なんてそこそこにして、勉強に集中しろって……。そしたら、この怪我だろ?ほんっと、俺、何やってんだ……」

律が自分に呆れたように、深くため息を吐いた。

「確かに、進学を考えるんだったら、今の成績ももちろん重要かもしんねぇけどさ……。毎日毎日、偏差値の話ばっかりされると、ちょっとな……。親父からの圧はどんどん強くなって、家の中には、俺の居場所なんてどこにも無くなって……」
「………」
「俺からサッカーを取ったら、何も残らないのに……そのサッカーすら怖くなって……全部が嫌になった」

学校では誰もが憧れるサッカー部のクールなエース。
だけど本当は、重圧に押しつぶされそうで、怪我に救われてしまうほど限界まで追いつめられていた、ただの未熟な男の子だった。