あの夏、残り3%の君と、世界でいちばん綺麗なサボり方をした


「……ねえ、律」
「ん?」
「あのさ、私……実は見ちゃったんだよね」
「何を?」
「あの……渡り廊下の下で、律が女子に告白されてるところ」

律の身体が、ピクッと小さく跳ねた。

「見てたのかよ……」

な、何……?その反応。
き、聞かない方がよかった……?
まさか私、地雷踏んだんじゃ……。

いつもならどんな事態も涼しい顔で受け流すはずの律が、あからさまに動揺して、また、黒目をあちこちに泳がせている。
私は胸の奥がキュッと痛んで、気まずさに畳の目をじっと見つめた。
だけど律は逃げることなく、ゆっくりと座り直し、膝の上で自分の手をぎゅっと握りしめた。

「断ったよ。速攻で」
「え……?どうして?」

私が尋ねると、律は困り果てたように前髪をぐしゃぐしゃと掻きむしった。
首筋から耳のあたりまで、ほんのり赤く染まっていくのが、豆電球の薄暗い光でもはっきりと分かる。

「……どうしてって」

律は一度言葉を詰まらせ、私からふいっと目を逸らした。
そのまま、自分のギプスを巻いた右足を意味もなく指先でつつきながら、蚊の泣くような声でぼそっと呟く。

「……他に、気になるやつがいるから」