おじさんが去った後の部屋には、激しい雨音と、天井からぶら下がった豆電球の橙色の光だけが残された。
外界の音をすべて遮断するような雨の壁が、この部屋を世界から切り離された二人だけの小さな秘密基地のように思わせる。
畳の上に大の字で寝転がりながら、律が天井を見上げてぽつりと漏らした。
「……俺さ、あおばをこんなところまで連れてきちゃって、本当に良かったのかな」
借り物のTシャツは、律にも少し大きめで、肩の線が大きく落ちていて、そこから覗く首元がやけに華奢に見える。
右足に巻かれた白いギプスが、淡い光の中で痛々しく、けれどどこか愛おしく浮き上がっていた。
普段学校で見せる、サッカー部のクールなエースの顔はどこにもない。
無防備で、隙だらけの、ありのままの姿だった。
ふと見ると、律の傍らには電源を落としたスマホが転がっていた。
律は時折、不安げで、どこか怯えるような視線をその真っ黒な画面に向ける。
父親からの怒号のような着信や、サッカー部のグループラインからの通知が、電源を入れた瞬間に怒涛のように押し寄せてくることを知っているから。
指先が画面に触れそうになり、小さく迷うようにピクリと動く。
けれど律は息を呑み、ぐっと拳を握りしめて、決して電源ボタンを押そうとはしなかった。
外界の音をすべて遮断するような雨の壁が、この部屋を世界から切り離された二人だけの小さな秘密基地のように思わせる。
畳の上に大の字で寝転がりながら、律が天井を見上げてぽつりと漏らした。
「……俺さ、あおばをこんなところまで連れてきちゃって、本当に良かったのかな」
借り物のTシャツは、律にも少し大きめで、肩の線が大きく落ちていて、そこから覗く首元がやけに華奢に見える。
右足に巻かれた白いギプスが、淡い光の中で痛々しく、けれどどこか愛おしく浮き上がっていた。
普段学校で見せる、サッカー部のクールなエースの顔はどこにもない。
無防備で、隙だらけの、ありのままの姿だった。
ふと見ると、律の傍らには電源を落としたスマホが転がっていた。
律は時折、不安げで、どこか怯えるような視線をその真っ黒な画面に向ける。
父親からの怒号のような着信や、サッカー部のグループラインからの通知が、電源を入れた瞬間に怒涛のように押し寄せてくることを知っているから。
指先が画面に触れそうになり、小さく迷うようにピクリと動く。
けれど律は息を呑み、ぐっと拳を握りしめて、決して電源ボタンを押そうとはしなかった。
