あの夏、残り3%の君と、世界でいちばん綺麗なサボり方をした


「ありがとうございます……おじさん」

律が頭を下げると、おじさんは小さく笑い、ゆっくりと立ち上がった。

「私の息子2人も、あんたらと同じくらいの時、同じようなことがあったんだ」
「………」
「今の言葉も、全く同じように息子たちにも言って、まぁ、それぞれうまくそれを乗り越えたようだけどね」

同じようなことが、おじさんの息子さんたちにも……?

「だから、大丈夫。みーんな悩んで生きてんだ。急いで答えなんか見つけられなくても、人間みんな大人になっていくんだから」

急がなくても、いい?
誰にも言わず、ここまで来たのは、間違いじゃ、なかった?
そう、思える日が、本当に来るのかな……。

「まあ、黙って出てきて咎められるとは思うけど、そん時はそん時」

おじさんは、私たちと、電源を落としたスマホを交互に見下ろしながら、頭上に人差し指を2本立て、鬼のツノを作った。

「まずは素直に謝って、あとは、本音で真正面からぶつかる。ただそれだけでいい」

本音で、ぶつかる……か。

おじさんはまた優しく笑い、「それじゃ、あとは若いモン同士、ゆっくり話しな」と言い残して部屋を後にした。