ガタゴトと車輪が重い音を立てて走り出す。
車窓からは錦江湾の濃い青と、その向こうに雄大に腰を下ろす桜島が姿を現した。
真夏の太陽を反射してギラギラと眩しく輝く大自然。
けれど今の私たちには、その眩しさが心を切り裂く刃物のように痛かった。
左右に揺れる車内、ふと思い立ってポケットからスマホを取り出す。
パッと点灯した画面の隅には——
『バッテリー残量 3%』
あ、そうだ……。
私、気分が落ち込んで、スマホの充電し忘れてたんだった。
でも、どうしよう。
勝手に抜け出してきたから、部員や顧問からも連絡が来るかもしれないのに、このままじゃもう電源切れちゃう……。
世界との繋がりが途切れようとしている数字を見つめながら、私は静かに息を吐いた。
重い車輪の音が、足元から全身へと振動として伝わってくる。
日豊本線の普通列車は、鹿児島市内の喧騒を背にしてゆっくりと速度を上げた。
車内は昼下がりの空気が漂い、乗客の姿も疎らだ。
ボックスシートに並んで腰掛けた私たちは、冷房の風が吹き出す天井を仰ぎ見た。
律の額には、まだ薄っすらと汗の粒が浮いている。
さっき自販機で急いで買ったスポーツ飲料のペットボトルを、固く結ばれた彼の手にそっと握らせた。
結露した冷たい水滴が、律の指先を濡らす。
「律……飲んで。ごめんね、さっきは引き止められたからって、ちゃんと飲み物渡せなくて」
申し訳なさで縮こまる私を、律は少し意外そうに見つめた。
それから、どこか照れくさそうに「ありがと」と短く呟くと、キャップを捻って開けた。
