あの夏、残り3%の君と、世界でいちばん綺麗なサボり方をした


息をのむ私と目が合った瞬間……。
律の表情が、解けた。

汗だくの顔、荒い息、痛みに耐えていたはずの眉間。
そのすべてを隠すように、律は私を見上げて、ゆっくりと柔らかく微笑んだんだ。

すべてを悟ったような、どこまでも深い瞳。
悔しさで押し潰されそうだった私の胸を、丸ごと優しく包み込んでくれるような、温かい笑顔だった。

「律……っ! なんで、こんなところに……っ!」

正気に戻った私の足は、咄嗟に動いていた。
律の額から顎へと伝う汗の粒、浅い息吐き。
熱中症になる直前だ。
パニックになりかけた頭で、搬入口のすぐ横にある自動販売機が視界に入る。

「待ってて、すぐ飲み物買ってくるから……!」

反転して走り出そうとした瞬間——

ガタン、と金属が擦れ合う高い音が響いた。
律が松葉杖を片脇に素早く挟み込み、立ち上がりざまに私の手首を強引に掴んだんだ。

「っ……あおば」

強く引き寄せられる。