どこまでもまっすぐで、空を切り裂くように美しい、透明な音。
……ああ、綺麗な音。
そう思った瞬間、涙が溢れて止まなくなっていた。
悔しい。
悔しい。
悔しい。
だけど、それ以上に恐ろしかったのは、自分がその美しい音色に対して「いっそ失敗すればいいのに」「音が外れればいいのに」と、最低な呪いをかけていることだった。
大好きな音楽なのに。
仲間の演奏なのに。
私は自分の惨めさを埋めるために、人の不幸を願ってしまうほど心が腐っていた。
自分の一番嫌いな、醜い感情。
胸が破裂しそうなくらい苦しくて、私は舞台裏の物置の陰に蹲り、両手で耳を塞いだ。
止まらない涙で視界がぐしゃぐしゃに歪む。
美しく響く仲間の音色と、足元に広がる黒い影の中で、私は二度と立ち上がれないくらい、自分自身に打ちのめされていた。
けれど、遮断したはずの拍手と歓声が、防音扉を通り抜けて地鳴りのように響いてきた。
……もう、無理。
この空間、キツすぎる……。
胸を締め付ける息苦しさに、私は逃げるように立ち上がった。
部員の制止する声を背中に弾き飛ばし、搬入口の重い鉄の扉を突き破るように押し開けた。
視界が弾けた。
容赦なく降り注ぐ鹿児島の南国の日差しと、まとわりつくような蒸し熱い空気が、涙で濡れた頬を焼き付ける。
汗と涙が混ざり合い、視界がぐしゃぐしゃに歪む。
どこへ向かっているのかも分からないまま、私はただ、あの息が詰まるホールから逃げ出した。
