――だからこそ。
翌日の土曜日、私たちは決められた場所へ行くのをやめた。
努力は必ず報われるってよく言うけど、ここに、何度やっても報われない人がふたりもいる。
あんな言葉、誰が最初に言い出したのかわからないけど、すごく迷惑な言葉だ。
私たちだって必死に頑張ってる。
それなのに、報われないってことは、それが足りないってことでしょ?
部活も、勉強も、進路を見つけることも……。
じゃあ……。
あと、どれだけ頑張れば、光が見えるの?
それを誰も教えてくれないのに、否定だけは、みんなからされるんだ。
私たちは、朝部活に行くふりをして家を出て、バスに乗り込み、高台にある吉野公園へと向かった。
休日の公園は、家族連れや観光客で緩やかな時間が流れている。
だけど、展望台へと続く階段を上る私たちの空気だけは、どこか異質で重かった。
昨日までのもがき疲れが、二人の体にズシリと残っている。
「……あおば、遅い。足もつれてんぞ」
前を歩く律が振り返り、ニッと笑う。
だけど、緩やかな階段を上るその背中は、右足を踏み出すたびにほんの一瞬だけ右へ沈んでいた。
手すりを握る指先が、うっすら白くなるほど力んでいる。
昨日の夕方、グラウンド脇で見せた律のあの一瞬の表情が脳裏をよぎる。
やっぱり、どこかおかしい。
でも、本人が「大丈夫だ」と笑う以上、それ以上踏み込むことはできなかった。
私だって、腫れた唇が痛くて上手く喋れないのを隠しているのだから。
お互いに「退けない現実」と「追いつかない自分」の狭間で、言えない傷口を隠しながら無理に足を進めていた。
「うわ……すっげぇ」
