あの夏、残り3%の君と、世界でいちばん綺麗なサボり方をした


その時だった。

ヒュルルル……と、夜空の奥へと吸い込まれていくような長い地鳴りが響き、一瞬の静寂の後、私たちの頭上でドーンと重たい音が炸裂した。

「あ……」

見上げると、公園の木々の隙間から、夜空を埋め尽くすほどの大輪の金色の花火が、鮮やかに弾け飛んだところだった。
激しい光の雨が、暗かった公園を真っ白に、そして一瞬だけ昼間のように激しく照らし出す。
光に浮かび上がった律の横顔は、いつも学校で見せる無邪気な笑顔じゃなかった。
何かを必死に耐えるように強く結ばれた唇と、眩しそうに、だけどどこか切なそうに夜空を見上げる、見たこともないほど大人びた瞳。
その横顔があまりにも綺麗で、私の胸の奥は、花火の爆発音よりも激しくドクンドクンと脈打った。

……ダメだ。
こんなの、いやでも自覚してしまう。
私、律のことが、ただの幼馴染み以上にどうしようもなく好きだ。

学校のみんなが知っている「サッカー部のエース」の律じゃなくて、私のために人混みをかき分けて汗だくで走ってきてくれる、この不器用な律のことが、ずっと前から好きなんだ。
律が私を見下ろして笑う。

「キレイだな。誰もいないところでこんなキレイな花火が見れるとか、最高だな。ここまで走ってきた、あおばのおかげ。サンキュー」

微笑む律から目が離せなかった。

「来年も、ここから見ような、花火」
「うん」

連続で上がる花火が、夜空を赤や青、紫色のグラデーションに染め上げていく。
煌めく光が降るたびに、街灯の下、アスファルトに伸びた二人の影が、近づいたり離れたりしながら静かに揺れていた。