あの夏、残り3%の君と、世界でいちばん綺麗なサボり方をした


私は感情のままに吐き出して、律の腕を強く振り払った。

「私は、ただの幼馴染だし、みんなみたいにキラキラ輝いてないし……。それに、何をやったってうまくいかない」
「………」
「後輩に、コンクールメンバーだってとられそうだし……あの子たちみたいに、可愛くないし……」
「………」
「律は何だかんだ言って、いつもみんなの中心にいるじゃん。私のダサさなんてわかんないよ……」

力を無くしてパラパラと地面に落ちていく言葉たちを、街灯の冷たい光が照らす。
完全に、私の八つ当たり……。
それなのに、律は何も言わなかった。
代わりに、きつく唇を噛み締め喉を鳴らした。
律は黙って、甚平のポケットからあの緑色の使い捨てカメラを取り出した。
そして、涙で顔を濡らした私に向かって、レンズをまっすぐ向けた。

「な、何よ……今撮らないでよ、顔ボロボロなのに……!」
「いいから」

――カシャ。

静まり返った公園に、チープな音が響いた。

「これでお前、勝手に逃げらんねえからな」

律はカメラを少し乱暴にポケットに押し込むと、プイッと顔を背けた。

「ただの幼馴染なんて、本当は思ってねえよ。俺だって、どうやって進んだらいいのかわかんねえことくらいある。……でも、俺ら協定組んだじゃん。カッコ悪い姿このカメラに残そうって」
「………」
「このカメラがゼロになるまで、お前のダサいところも、全部俺が残してやるから」