旧校舎の窓際で夕空を見上げる私の横顔。
おじさんの家の縁側で、膝を抱えてうとうと眠る私の無防備な顔。
県大会のオーディションに落ちて、雑用をこなしていた悔しい顔。
夕陽をいっぱいに浴びて、呼吸をするように前を見つめる私の瞳。
こんな写真、いつの間に撮ってたの……?
最後は、空き教室でソロの練習に集中している、トランペットを吹いている私の真剣な横顔だった。
最初の頃の嫉妬や悔しさに歪む私たちの顔が、明らかに変わってきていた。
使い捨てカメラの良さって、これなんだね。
あの頃律が言っていたみたいに、すぐに確認できないからこそ、こうやって成長を見ることができる。
ここに写っているのは、全て過去の私たち。
悩んでもがきながら、一歩ずつ前進してきた私たちの足跡。
それが全て、この写真に残されていた。
まるで一本のショートフィルムのように、私たちの歩んできた道を、完璧に映し出している。
使い捨てカメラのファインダー越しに、私たちはそれぞれの人生を刻んできた。
思い出を見返していると、急に胸の奥が熱くなり、ボロボロと涙がこぼれ落ちた。
……あれ?
ふと見ると、最後のトランペットを吹いている写真の右上の端っこだけが、少しだけクシャッと折れていた。
律はこういう大事なものを扱うとき、いつもすごく丁寧なのに。
どうしてこの最後の1枚だけ端が折れてるんだろう?
違和感を覚えて写真をひっくり返してみると——その理由が、すぐに分かった。
折れた角のすぐ下に、黒いマジックペンで、乱暴だけどまっすぐな律の文字が躍っていた。
