堂々と言い切った私に、神崎先輩は目を細め、そっと私の背中に温かい手を置いた。
「そうだね。白波さんの音色を聞くと、すごく感動する……それってきっと、一度立ち止まった人にしか出せない音色だと思うよ。今の白波さんに、勝てる人はいない。無敵だよ」
先輩が私の二の腕を突いてくる。
「そうですよ!白波先輩は、今、無敵です!」
「松下さん」
私と神崎先輩の間に勢いよく割り込んできた松下さんが、私に可愛い笑顔を向けてきた。
「先輩、私の分までぶちかましてきてください」
松下さんが、胸の前で拳をギュッと握る。
「もちろん。松下さんからバトンを受け取ったんだもん。全力で頑張ってくる」
私と松下さんは、目を合わせて強く頷き合った。
私たちの前の高校の演奏が終わり、ステージが暗くなった。
いよいよだ。
「さっ、行こうか。俺らの、九州大会!」
「はいっ!」
私がキリッと返事をすると、先輩は歯を見せて笑い、トロンボーンを握る手に力を込めた。
パートごとに分かれて速やかにステージに上がる。
私はファーストの席に腰を下ろし、満席の観客席を見つめた。
私の立ちたかったステージ。
中学の頃から夢見ていた、この吹奏楽部の一員としてステージに上がること。
それがやっと、今、叶ったんだ。
