案の定、翌日の放課後に部活に行ったら、パートリーダーから注意を受けた。
気が緩んでる。
そんなんじゃ、オーディション落ちるよ。
去年は一年生だったから出られなかったのに、今年もそうやって出ないつもり?
時間がないの。
みんなの足を引っ張らないで。
わかってる……。
言われなくたって、自分が一番よくわかってるよ。
言いたいことはあるのに、それを言葉にする勇気なんて持ち合わせていない。
私はただ、パートリーダーの説教に、唇を噛み締めて俯くだけだった。
情けない……。
数日後に行われた、全く手応えのなかった期末テスト。
返却された白い余白ばかりが目立つテスト用紙をカバンに詰め込み、私は放課後、吸い寄せられるようにまたあの旧校舎の空き教室へと向かった。
重い木の扉を開けると、夕方の強い西日が差し込む窓辺に、律がボツンと立っていた。
その手には、私と同じく返却されたばかりのいくつかのテスト用紙が握られている。
隙間からチラリと見えたそれには、赤色の無残な数字が並んでいた。
「……なんだ。律のクラスもテスト返却あったんだ」
「あ〜、うん、まあな」
「……今回も悲惨だったみたいですね」
律の隣に立ち、窓から左側に広がるグラウンドを見下ろす。
テスト期間中小休止していた部活が一気に動き出し、サッカー部の掛け声や、遠くからかすかに聞こえる吹奏楽部のチューニングの音が、夏の熱気と一緒に風に乗って届いていた。
本当なら、私もあの場所にいなきゃいけないのに……。
「み〜た〜な〜」
律はまるで、未練を残したまま成仏しきれていない幽霊のような低い声で、隣に立つ私を見下ろしてきた。
「ハハハ、何その声。キモい」
私が笑いながら言うと、律は5枚のテスト用紙をパラパラと扇子みたいに揺らしてみせた。
「あおば、俺やっべーわ。本当にやっちゃった」
