絶対にこの高校の吹奏楽部に入りたくて、がむしゃらに勉強した中学3年の時。
あの時は、確かに、憧れと希望しかなかった。
でも、いざ入部してこの吹奏楽部の一員になってみたら、中学時代と違って実力者たちの集まりに圧倒され……トランペットを吹くのが怖くなった。
思うように音が出ず、合奏のたびに先輩や同級生からの冷ややかな視線に晒された。
『白波、ひとりだけ遅い。もう一回やり直し』
顧問から、何度この言葉を言われただろう。
自分の不甲斐なさに、部活に行くのが怖くて放課後が来るたびに胃が痛んだ。
家へ帰れば帰ったで、私の葛藤を理解してくれない親との意見のすれ違いが続いた。
「そんなに苦しいなら辞めなさい」「オーディションに落ちたんだったら、今からでも勉強に集中しなさい」——正論という名のナイフが胸に突き刺さり、自室のドアを力まかせに閉めて、布団の中で声を殺して泣いた夜が何度もあった。
そして、律のあの怪我。
全てを捨ててでも守りたかったサッカーにも見放され、絶望に潰されそうになる律の隣で、私もまた世界から取り残されたような暗闇に落ちた。
現実から逃げたくて、部活をサボって、二人で暗闇の中をあてもなく走り回った。
大人たちの言う「正しい道」から完全に脱落して、泥をなめるようにして過ごした日々。
だけど——思い返せば、あの時の私たちの心は、あの日の私のスマホのように、充電が切れかけていたんだ。
