あの夏、残り3%の君と、世界でいちばん綺麗なサボり方をした


『……断ったこと、俺、絶対後悔させねぇから。それに、お前のこと一番振り回していいのは、俺だけだし。勝手に告白してんもの、なんかムカつく』
「り、律……」
『明日、へばった音吹くなよ。九州中に響かせるつもりで吹いてこい。お前がどんだけ遠くにいたって、俺の耳にはお前の一音目から全部届いてんだからな』
「……うん! 絶対、世界でいちばん綺麗な音、響かせてくるから!」

私が力を込めて言うと、電話の向こうで律がふっと笑ったのがわかった。

『おう。……じゃあな。戻ってきたら、覚悟しとけよ』

電話がブツリと切れたあとも、耳元に残る律の低く熱い声が離れなかった。
私の名前を呼ぶ温度も、強引な言葉も、全部が私だけのものなのだと伝わってくる。

明日へのプレッシャーや不安は、いつの間にか跡形もなく消え去っていた。
胸の中に満ちているのは、溢れんばかりの情熱と、早くあの光のステージへ立ちたいという最高の高揚感だけだった。