律のトーンが一気に低くなる。
私は息を呑みながら、まっすぐに言葉を続けた。
「神崎先輩に……告白されたよ」
『…………』
電話の向こうで、完全に律が絶句したのが分かった。
息をのむ音さえ消え、沈黙が電波を伝ってくる。
律が今どんな顔をして、どれほど動揺しているかが手に取るように伝わってきて、胸がキュッと締め付けられた。
「……でもね、ちゃんと断ったよ」
『……え』
「神崎先輩のことは尊敬してるけど、付き合えないって……はっきり伝えた」
再び訪れる短い静寂。
だけど今度の静寂は、律の激しい動揺と、安堵の混ざり合った熱い息遣いに満ちていた。
『……っ、お前……心臓に悪いこと言ってんじゃねえよ……』
安心したのか、律の声が落ち着いた。
だけど、次の瞬間、電話の向こうで律がふっと短く息を吐く音が聞こえた。
『……あおば』
いつもと違う声のトーン。
いつものいじわるでツンツンした律じゃない。
低く、力強く、私の全身を焦がすような本気の声だった。
