あの夏、残り3%の君と、世界でいちばん綺麗なサボり方をした


「それに、そう言う時に白波さんを見たらさ、毎日自分と向き合ってるというか、自分に何が足りなくてどうなりたいと思ってるのか、きちんとわかっててすごいなぁって、色々勉強させてもらってた」
「そ、そんなすごいこと、私はしてないですよ。嫌になって、ただ逃げてただけですから」
「それができる人、なかなかいないよ」

先輩が、私をとても優しい目で見つめる。

「だけど、それを一緒にやってたのが、俺じゃなくて、東郷だったってことがちょっとムカつくけど」

先輩の手が、そっと私の手すりを握る指の上に重ねられる。
涼しい夜風の中で、先輩の体温だけが熱いほど伝わってきた。

「神崎、先輩……」
「ズルいよ、白波さん。俺を本気にさせといて」

先輩の声が、かすかに掠れた。
重ねられた指先に、少しだけ強く力が込められる。

「俺じゃダメかな。……俺なら、あいつ以上に白波さんのこと支えることできるし、大切にできる」

まっすぐで、どこまでも優しい、先輩からの告白。

胸が痛くて、破れそうだった。
先輩がどれだけ私を大切に思ってくれていたか。
どれだけ優しく光を示してくれていたか。
痛いほど、胸に突き刺さる。

だけど——私の胸の真ん中にいたのは、いつだって泥だらけの律だった。