あの夏、残り3%の君と、世界でいちばん綺麗なサボり方をした


シャッターが切られた瞬間、律はパッと手を離し、乱暴に自分の顔を覆って背を向けた。

「……っあーもう!クソッ!」

真っ赤になった首筋まで隠すように頭を抱え、部屋の隅へ逃げていく律。

「り、律……!いまの、なに……っ!?」

顔から火が出そうなくらい真っ赤になった私は、胸を叩く激しい鼓動を押さえつけるので精いっぱいだった。

「……うるせえ!最後の一枚撮っただけだよ!」

背を向けたまま、掠れた声で叫ぶ律。

「神崎先輩だか誰だか知らねえけど……その写真見たら、誰も横から口挟めねえようにしてやったんだよ!」
「……律」
「だって、ほら、明日から福岡だろ?俺……そこにいねぇじゃん。あ、あいつが、お前に何したかとか、わかんねぇし」
「何もないよ」
「そんなのわかんねぇだろ?あいつ、お前のこと狙ってるんだから」

律が私を不機嫌に睨みつける。

「それに、今そんな写真撮ったって、現像してないんだから、誰にも見せられないじゃん」

私がイタズラっぽく言って笑うと、律はまた顔を真っ赤にして挙動不審になった。

「う、うるせえな!いいんだよ、これで!」

不器用で、強引で、だけどたまらなく愛おしい。
触れ合う寸前の、あの息が止まるような緊張感と、律の手のひらの熱さが、いつまでも頬に残っていた。

最後に刻まれた、初めての距離感での一枚。

その写真が教えてくれる本当の答えを胸に抱いて、私は明日、福岡のステージへと旅立つ。