あの夏、残り3%の君と、世界でいちばん綺麗なサボり方をした


「そんなの、ただの嘘だよ。私、神崎先輩のことはすごい先輩として尊敬してるけど。けど、それだけだよ。付き合ってなんかない」

真っ直ぐに律の目を見つめて言うと、律は目を見開いたまま、フッと全身の力を抜いた。

「そ、そっか……。あいつ、なんかムカつくけどカッコいいし、お前に優しいし……。部活一緒で、ずっとお前と一緒にいられるし……。お前がそっちに行っちまったら、俺、どうしようかと……」

掠れた声を絞り出した律。
目を激しくあちらこちらに泳がせたけど、しばらくして、律の瞳には安心したような色が見えた。
ようやくアイスを一口食べると、緊張が解けたみたいに律が小さく笑う。

ふと、机の上に置いてあった使い捨てカメラが目に留まった。
フィルムを巻き上げるダイヤルの横の残り枚数を確認してみると、そこには『1』となっていた。

「え、もうあと1枚しか残ってなかったの?」
「うん。結構撮ってきたな、俺ら」

そう言って、律が私からカメラをゆっくり取って、カメラをぐるっと回して見ていた。

「……この一枚は、俺が撮るから。あおば、ちょっとあっちに立って」

西日の差し込む窓辺。
西陽が律の髪の毛先を黄金色に透かしていた。

「……こっち向けよ」

律の声が、いつもよりずっと低くて、少し掠れていた。
使い捨てカメラを構える律の指先が、かすかに震えている。
ファインダー越しに目が合った瞬間、息が詰まった。
律の瞳は、どこか切なくて、真っ直ぐに私を見ている。

律はカメラを構えたまま、ゆっくりと私との距離を詰めてきた。