あの夏、残り3%の君と、世界でいちばん綺麗なサボり方をした


——カシャッ。

指先を通じて、カメラの中に律の最高に格好いい瞬間が刻み込まれる。
一枚……。
二枚……。
三枚……。

シャッターを押す手を、止められなかった。

「撮りすぎだし」

シャッター音の多さに、律が苦笑いを向ける。

「……だ、だって、撮れって言ったの律じゃん」
「そうだけど」
「ごめん……すっごく、たくさん、撮りたい、気分だった……」

私が照れくささを隠しながら言うと、律はハッとしたように顔を赤くして、勢いよく私に背を向けた。

「……っ。む、無駄遣いはすんなよ」

乱暴に捨て台詞を吐きながらも、赤くなった耳根っこを隠すように頭を掻く律。
そして、グラウンドへ戻る間際、律は周囲に聞こえないくらいの小声で、私にだけ聞こえるように囁いた。

「ずっと、見とけよ。お前のためにゴール決めるから」

グラウンドへと駆け戻っていく背中を見送りながら、私は熱くなった使い捨てカメラを強く胸に抱きしめた。

どんなに多くの人に囲まれていても、律の瞳に映っているのは私だけ。
そんな淡い期待が、私の身体の奥底から無限の勇気を沸き立たせてくれた。