あの夏、残り3%の君と、世界でいちばん綺麗なサボり方をした


パッと窓の外へ目をやると、ボールをトラップした律の動きがピタリと止まっていた。
前髪の隙間から伺える黒い瞳が、音楽室で並んで立つ私と神崎先輩の距離感を、射抜くような鋭さで見上げている。あまりに露骨な視線に、私の胸はドクンと跳ね上がった。
​律はバツの悪そうにボールを蹴り出すと、首にかけたタオルで汗を乱暴に拭い、わざとらしく違う方向へ走っていく。
赤くなった耳根っこを遠目にも隠しきれていないその背中に、胸がキュッと甘く締め付けられた。

​なにやってんのよ……。
練習に集中しなよ、バカ律。

​心の中で呟きながらも、自分を気にして仕方のない律の嫉妬が、たまらなく愛おしかった。
勇気が出なくて告白も出来ない私だけど、この瞬間に、小さな幸せを感じてそれだけでも心が満たされるんだ。