あの夏、残り3%の君と、世界でいちばん綺麗なサボり方をした


「それにさ、これ以上成績下がったらサッカー辞めろって、親父にもそう言われてる」

そ、そんな……。
もちろん、成績も大切かもしれないけど、今の私たちにとっては、部活だって同じくらい大切なのに……。
でも……。
今日、逃げ出したんだから、あまり偉くは言えないか……。

「やりたいことやって、何が悪いんだろうな……」

律は、ぎゅっと自分の膝の上のハーフパンツを握りしめた。
明日部活に行けば、サボった罰としてみんなの前で説教を受けて、冷たい目を向けらる。
それでも、私たちは、あれ以上部活を続けられなかったんだ。

「……ごめん。おまえに、こんな話しにきたわけじゃないんだけど」
「ううん。……私も、今日、律がいてくれなかったら、ずっと泣いてたと思う」

私は膝を抱えて、滲む視界のまま律を見つめた。
悪いことをしている。
明日が来れば、もっと大きなツケを払わなきゃいけない。
それでも、お互いに傷口を見せ合うようにして、この静かな部屋で一緒に痛みを分け合っている時間だけが、かろうじて息を繋ぎ止めさせてくれる、唯一の場所だった。

律は少しだけ視線を和らげると、ポケットから手のひらサイズの緑色のプラスチックの箱を取り出した。