あの夏、残り3%の君と、世界でいちばん綺麗なサボり方をした

​「わっ……!?」

​叫ぶ暇もなく、体がぐいっと強い力で引き寄せられる。
視界がグラリと揺れ、頭上に大きな黒い傘が差しかけられていた。

​引き寄せられた胸元から顔をあげると、そこには息を切らし、前髪を濡らした律が立っていた。
黒い折りたたみ傘を強く握りしめ、濡れた瞳で私を見下ろしている。
リハビリのジョギングを終えて、きっとここまで走って追いかけてきたんだと思う。

​「り、律……!?」

​突然の出来事に息をのむ私と、激しく肩を上下させる律。神崎先輩が驚いたように振り返り、静かな雨の坂道に緊迫した空気が走った。

​「東郷、律……おまえ、急に何をするんだ。白波さんも驚いてるだろ」

​神崎先輩が静かな、けれど逃がさない決意を込めた声で私の右腕を掴み返し、自分の傘の下へ引き戻そうとする。