放課後、誰もいなくなった音楽室。
神崎先輩は譜面台の横に立ち、何度も私にアドバイスをくれ、練習に付き合ってくれた。
「白波さん、今の音、すごく良いじゃん。でも、まだ『間違えちゃいけない』っていうプレッシャーが音の端っこに残ってる感じがするんだよね」
押しつけがましさの欠片もない落ち着いた声。
先輩は手本としてトロンボーンを構え、息を吹き込む。
深くあたたかく、聴く者の心を優しく包み込むような音色。
「ソロってのはさ、『聴かせる』んじゃないだよ。説明が難しいんだけど、こう、何て言うの?遠くの誰かに、そっと言葉を手渡すような感じって言うかな?それを意識して息を吹き込んでみて」
遠くの誰かに言葉を手渡す感じ……。
あの駄菓子屋のおじさんに、伝えたかったことを、音にして届ける感じ……。
先輩のアドバイスを受けて息を吐き出すと、嘘みたいに身体の力が抜け、あたたかな音が響いた。
「ほらね、できた。……白波さんの音って、本当に魅力的になったよね」
そう言って柔らかく微笑む神崎先輩。
大人びた佇まいと音楽に対する真剣な眼差しに、私は心強さと同時に、胸がどこかすっと温かくなるのを感じていた。
放課後、誰もいなくなった音楽室。
神崎先輩は譜面台の横に立ち、何度も私にアドバイスをくれ、練習に付き合ってくれた。
「白波さん、今の音、すごく良いじゃん。でも、まだ『間違えちゃいけない』っていうプレッシャーが音の端っこに残ってる感じがするんだよね」
押しつけがましさの欠片もない落ち着いた声。
先輩は手本としてトロンボーンを構え、息を吹き込む。
深くあたたかく、聴く者の心を優しく包み込むような音色。
「ソロってのはさ、『聴かせる』んじゃないだよ。説明が難しいんだけど、こう、何て言うの?遠くの誰かに、そっと言葉を手渡すような感じって言うかな?それを意識して息を吹き込んでみて」
遠くの誰かに言葉を手渡す感じ……。
あの駄菓子屋のおじさんに、伝えたかったことを、音にして届ける感じ……。
先輩のアドバイスを受けて息を吐き出すと、嘘みたいに身体の力が抜け、あたたかな音が響いた。
「ほらね、できた。……白波さんの音って、本当に魅力的になったよね」
そう言って柔らかく微笑む神崎先輩。
大人びた佇まいと音楽に対する真剣な眼差しに、私は心強さと同時に、胸がどこかすっと温かくなるのを感じていた。
