ピロンッ
「ん…?」
仕事を終え、いつものように執筆に励む俺のもとに差出人不明のメールが届いた
【件名:作品の映像化についてのご提案】
映像化…?
すぐには理解ができなかった
世界から音が消えた感覚に陥る
本文を読もうとマウスにかけた手が、酷く震えていた
もしかしたら、イタズラかもしれない。
でも、本当に自分の作品が映像化されたら…
深呼吸をして、気持ちを落ち着かせた。
マウスをゆっくりと動かし、メールを読み進める。
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冬月柚先生
突然のご連絡を失礼いたします。
私は映像制作に携わっている佐藤と申します。
このたび先生の『ヤンキーくんは、メガネくんに恋をする』を拝読し、登場人物の繊細な心理描写や、恋愛だけではない人間ドラマに深く心を動かされました。
多くの方の心に届く作品だと感じ、ぜひ映像化をご提案させていただきたく、ご連絡いたしました。
現在、関西ローカル放送としての企画を検討しており、放送終了後には見逃し配信および、動画配信サービスでの配信も視野に入れております。一度先生にお話を伺う機会をいただけますと幸いです。
もちろん現時点で正式な決定事項ではございませんが、先生のご意向をお聞かせいただいた上で、企画を進められればと考えております。
ご多忙のところ恐縮ですが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。
(会社名)大阪クリエイト制作&放送
制作部 佐藤勇気
(連絡先) 〇〇〇.@__
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一応会社名が書かれているが、にわかには信じられず
会社名を検索してみると実在するようだった。
イタズラではないらしい。
もちろん、とても光栄なことだが本当に俺の作品でいいのかと不安になる。
それに加えて、もう1つ大きな心がかりがあった。
この作品には、モデルになった人間がいる。
いや、なってしまった…というか…
まぁ、それはそのうち話すとして…
とにかくこのメールに返信しなければならない。
自分の作品が映像化というのは、作品を書いていく上で大きな目標として掲げているものだった。
俺には断る理由がない。
二度とこんな機会は無いかもしれない。
すぐにでも返信メールを作成しようと、キーボードに手をかける。
「うわ、めっちゃ手震えてる」
あまりの情けなさに思わず笑いがこぼれる。
緊張や感動で手が震えるのは小さい頃からの癖のようなものだった。
はやる気持ちを落ち着かせながら
一つ一つ言葉を選び、ゆっくりと打ち込んでいく。
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件名:Re: 作品の映像化についてのご提案
大阪クリエイト制作&放送
制作部 佐藤勇気様
初めまして。
冬月柚と申します。
この度は拙作『ヤンキーくんは、メガネくんに恋をする』をお読みいただき、また映像化という大変光栄なお話をいただき、誠にありがとうございます。
メールを拝読した際は、突然のご提案に大変驚きましたが、それ以上に作品をこのように評価していただけたことを心から嬉しく思っております。
映像化につきましては、ぜひ前向きにお話をお伺いできればと思っております。
まだ実感が湧かず、夢を見ているような気持ちですが、このような貴重な機会をいただけたことに深く感謝しております。
ご都合のよろしい日時をご教示いただけましたら、喜んでお時間を頂戴いたします。
何卒よろしくお願いいたします。
冬月柚
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「よしっ…」
誤字脱字がないか、失礼な文章になっていないか
AIにもその都度確認しながら文章を完成させていく
長年描き続けた小説や、仕事でのメールを書くのは慣れている。
しかし、ペンネームでのメール作成は初めてのことだった。
初めて文章を作るのにAIを使ったが、
便利な世の中だな。
マウスにかけた手に僅かな緊張を残しながら、送信ボタンを押す。
"メールの送信が完了しました"
送ってしまった…
神様、ついに俺の夢が叶うかもしれません…!!


