放課後、僕の料理が君に完食されるまで。

放課後の家庭科室に、甘く香ばしいカラメルの香りが満ちていた。

蓮介はステンレスの調理台の上に鎮座している“それ”を祈るような気持ちで見つめていた。

金属製のバケツを引っくり返して、ゆっくりと持ちあげる。

自重でわずかに揺れながらも、崩れることなく、美しい琥珀色のドレスをまとった黄色い山が現れた。

「よし、自立した…!」

総重量は約2キロだ。

卵を贅沢に使って、ギリギリの固さに仕上げた、夢のバケツプリンだ。

その周囲を山盛りのホイップクリームとこれでもかと敷き詰められた色とりどりのフルーツが彩る。

「ーーできた!」

仕上げに、チェリーを頂点にちょこんと載せれば完成だ。

「バケツプリン・アラモード…!」

自分の傑作に見惚れていたら、
「おおっ…!」
と、背後から低く、しかし確実に興奮を孕んだ声がした。

いつの間にか家庭科室に入ってきた望がスクールバッグを床に放り出して、目を少年のように輝かせてプリンを凝視していた。