放課後、僕の料理が君に完食されるまで。

蓮介はその様子をただ息を呑んで見つめていた。

自分の魂を込めて作った料理が目の前の彼の胃袋へ跡形もなく消えていく。

その光景は、少食の蓮介にとって未知の快感だった。

全身の血が沸き立つような、ゾクゾクするほどのカタルシスが背筋を駆け抜けた。

「ーーごちそうさまでした」

ものの10分ほどで、皿の上には綺麗に身を剥がされた1本のゴボウだけが残されていた。

望はズボンのポケットからハンカチを取り出して満足そうに口元を拭うと、蓮介に向かってニカッと笑った。

普段は見せない年相応で、どこか悪ガキのようなまぶしい笑顔だった。

「いや、マジで最高だった。

こんな美味いマンガ肉を初めて食ったわ。

小松くん、だっけ?」

「…う、うん」

「合格…と言うか、むしろこっちからお願いさせて」

望は調理台に身を乗り出すと、蓮介の目を真っ直ぐに見つめた。

「僕の専属シェフになってよ。

お前の料理、これから全部僕が完食してやるから」

夕暮れの家庭科室で、“作りたい”料理男子と“食べたい”大食い男子の放課後の秘密の契約がここに交わされた瞬間だった。