放課後、僕の料理が君に完食されるまで。

半分になったケーキは、あっと言う間に2人の胃袋へと消えていった。

「ふう、ごちそうさまでした…あーあ、終わっちゃったな…もっと食いたかった」

「おいおい、たまには腹八分目を覚えろ」

蓮介が呆れたように言うと、望は椅子の背もたれにもたれかかって蓮介の顔を真っ直ぐに見つめてきた。

その瞳には、夕日の煌めきと深い信頼の光が宿っている。

「なあ、蓮介」

「んっ?」

「これからもさ…僕の胃袋、お前に預けていい?」

「ーーッ…!」

その言葉に、蓮介の胸がギュッと熱く震えた。

大食いだけど料理が壊滅的にヘタな望むと少食だけど料理を愛してやまない自分ーーお互いに足りないピースを埋めあわせるようにして出会った自分たちの関係は、もうただの“作り手”と“食べ手”なんかじゃない。

蓮介は空になったお皿を愛おしそうに見つめて、それから望に向き直って、最高の笑顔を返した。

「当たり前だろ、君の胃袋を満足させられるシェフは世界中で俺だけなんだから。

これからも、一生完食させてやるよ」

「おう、絶対にひと粒も残さないからな」

夕暮れの家庭科室に、温かい彼らの笑い声が響いた。

カメラの回っていない2人だけの特別な放課後は、これからもずっと美味しくて甘い音を立てながら続いていく。

☆★END☆★