放課後、僕の料理が君に完食されるまで。

自分の作った料理がこんなにも優しくて美味しいものだと言うことを、蓮介は久しぶりに五感全てで実感していた。

「うん、美味しい」

蓮介が微笑むと、望は一瞬だけまぶしいものでも見るように目を細めた。

それから唇の左下にあるホクロを小さく動かして、嬉しそうにフォークを握った。

「じゃあ、僕も…いただきます」

望がケーキを一口頬張った。

ーーモグ、モグ

静かで、世界一綺麗で、愛おしい咀嚼音だった。

望の顔がとろけるような至福の笑顔に染まっていく。

「めちゃくちゃ美味い、今まで食ったお前の料理の中で一番優しい味がする」

「そりゃよかった、君のために特別な隠し味を入れたからな」

「何それ、企業秘密?」

「まあね」

蓮介はイタズラっぽくウインクをした。

隠し味なんて、本当は入っていない。

ただ望の笑顔が見たい、あいつの胃袋も、その先にある心も、自分の手料理でいっぱいにしたいーーそんな言葉にできないほど強くて甘い思いをこめただけだ。