放課後、僕の料理が君に完食されるまで。

ーーガラガラ

少し遠慮がちな音を立てて引き戸が開かれて、望が顔を覗かせた。

「待たせたな、蓮介…って、あれ?」

望は調理台の上に載っているケーキを見て、不思議そうに目を丸くした。

「今日は撮影しないの?」

「うん、今日は撮影なし」

蓮介はパイプ椅子を2つ引き寄せると、望に座るようにとうながした。

そして、お皿の真ん中に載っているケーキをナイフで半分に切り分けた。

「今日はさ、君に食べてもらうためだけにじゃなくて…2人で食べるために作ったんだ」

「2人で?」

望が少し驚いたように首を傾げた。

少食の蓮介が自分から食べ物を口にしようとするのは珍しいことだったからだ。

「そう…俺にとっては一口でも精一杯のごちそうだけど、君と一緒に美味しいねって言いながら食べたくて」

そう言って蓮介は自分の口の小さなケーキをフォークで一口、そっと口に運んだ。

甘酸っぱいいちごと滑らかな生クリームの味が広がった。