放課後、僕の料理が君に完食されるまで。

家庭科室を飛び出して行った望の涙を浮かべた顔が脳裏に焼きついて離れなかった。

(あいつは俺を守るために、自分の“世界で幸せな場所”をあきらめようとしている…!)

「そんなの、絶対に納得がいかない!」

翌日の放課後、蓮介は家庭科室に立って固い決意を胸にフライパンを握っていた。

望が逃げてしまうなら、自分が連れ戻すだけだ。

「あいつが胸を張って美味しいと食える場所を、もう一度作るんだ…!」

蓮介はこれまでの自分たちの思い出を全て詰め込んだ、最後にして最大の料理を完成させた。

大きな楕円形の大皿の上にそびえ立つ、総重量は3キロを越えている『特盛オムライススタジアム』だ。

ふんわりと焼きあげた黄金色のドームに、じっくりと煮込んだ自家製デミグラスソースが贅沢にかけられている。

蓮介はスマートフォンをセットして、望のアカウントで「緊急ゲリラ生配信」のボタンを迷わずにタップした。

ハナノスケのチャンネルに、ライブ配信の通知が一斉に飛んだ。

蓮介はスマートフォンのマイクに向かって、毅然とした声で語りかけた。