放課後、僕の料理が君に完食されるまで。

「僕だけならいい…でもこのまま撮影を続けて、もし撮影場所がここだってバレたらどうするんだ?

お前が動画に関わっていることがバレたら、蓮介まで変な目で見られるんだぞ?

ヤラセだとかデブ製造機だとか、絶対に言われるんだぞ!?」

「そんなの、俺はどうだっていい!」

「僕が嫌なんだよ!」

望は立ちあがって、蓮介の胸ぐらを掴むようにして、その顔を間近に見つめた。

彼の瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちた。

「僕、料理が全然できなくて…姉ちゃんが寝込んだ時は、本当に絶望したんだ…。

でも、お前が作った飯を食っている時だけは…俺、自分の胃袋が誇らしかった。

お前が楽しそうに作ってくれるから…俺、すごく幸せに食えたんだ。

これ以上、お前との“美味しい場所”をあいつらに汚されたくないんだよ!」

掴んでいた手が、ゆっくりと解かれて力が抜けていく。

「ハナノスケのチャンネルは、しばらく休止する…だから、もう僕のために作らなくていい…もう、お前を巻き込みたくないんだ…」

それだけ言い残すと、望はスクールバッグを掴んで逃げるように家庭科室を飛び出して行った。