放課後、僕の料理が君に完食されるまで。

放課後、蓮介はいつもより早く家庭科室へと足を向かわせた。

こんな時だからこそ、望の大好きなもので元気づけてやりたかった。

しかし、調理台の上には食材すら並んでいなかった。

薄暗い家庭科室の片隅で、パイプ椅子にポツンと座って膝を抱えている望の姿があった。

「ーー望…?」

蓮介が声をかけると、望はゆっくりと顔をあげた。

いつもの掴みどころのない瞳は、光を失ってひどく濁っているように見えた。

「蓮介、ごめん…。

今日、撮影できない…」

「何を言っているんだよ、周りの雑音なんて気にするな。

俺はいくらでも作る、君がハナノスケだって胸を張ればいいじゃないか!」

「そう言う問題じゃないんだよ!」

望が珍しく感情を剥き出しにして叫んだ。

その声は、微かに震えている。