放課後、僕の料理が君に完食されるまで。

翌日の昼休みのことだった。

蓮介のその願いは、予想もしない形で叶うことになった。

「おい、花江。

今日も購買のパン1個だけか?」

「あー、うん…あんまりお腹が空いてなくて…」

教室の隅でクラスの男子グループの輪の中で、少し気だるそうに笑っているのはクラスメイトの花江望(ハナエノゾム)だ。

少し眺めの前髪に掴みどころのない切れ長の目、どこかクールな雰囲気をまとっている彼は、いつも小さなメロンパンや質素な弁当を口にしている。

だが…蓮介の目は、その時たまたま彼の“口元”に釘付けになった。

(あれ?)

彼がメロンパンを小さくちぎって、口に運んだ。

その瞬間、唇のすぐ左下にある小さなホクロがかすかに動いた。

それと同時に、蓮介の耳にかすかな“咀嚼音”が届いた。

ーーサク、モチ…

驚くほど静かで、それでいて恐ろしく小気味いい綺麗な音だった。

(このホクロの位置…それに、この食べ物の音のテンポって…)

蓮介の脳裏に、“ある人物の映像”がフラッシュバックした。