放課後、僕の料理が君に完食されるまで。

望のピッチは、ここからさらにあがっていった。

バケツプリンの山をまるで重機のように規則正しく、しかし驚くべきスピードで削り取っていく。

口いっぱいにプリンを含んでいると言うのに、彼の食べ姿はどこか上品で、見惚れてしまうほどに美しかった。

時おり、味の変化を楽しむようにいちごやキウイを挟んで酸味でリセットしては、再びプリンの海へとスプーンを沈めた。

ファインダーを覗いている蓮介の心臓は、ドクドクと高鳴っていた。

自分が昨日から卵を何個も割って、カラメルの温度に細心の注意を払って作りあげた2キロの巨大プリンが目の前の少年の胃袋へとものすごい勢いで吸い込まれていく。

(たまらん…これ、めちゃくちゃ気持ちいい…!)

自分で食べられないと言う劣等感が望が代わりに美味しく平らげてくれることで、極上の“達成感”へと昇華されていく。

蓮介は、脳内から見たこともない物質が分泌されているのを感じていた。

作ってよかった…!

この少年に、もっと、もっと作ってあげたい…!

気がつけば、開始からわずか15分が経っていた。

大皿の上には、薄く残ったカラメルソース以外は何も残っていなかった。

カメラに向かって、望が再び綺麗に一礼する。

蓮介は録画停止のボタンを押した。