放課後、僕の料理が君に完食されるまで。

カメラの向こうの視聴者に向かって、ペコリと丁寧に一礼する。

そして…目の前の超巨大プリンに向けて、両手をあわせて“いただきます”のポーズを取った。

その一連の動作が驚くほどスマートで無駄がない。

望が大きなスプーンをプリンの山頂へと突き立てた。

ーーみちっ

卵と牛乳が限界まで凝縮された、密度の高い音がマイクに吸い込まれる。

すくいあげられた大ぶりのひと口、カラメルソースがとろりと滴るそれを望は大きな口を開けて一気に吸い込んだ。

「ーーッ」

望の肩が嬉しそうに跳ねた。

ーーモグ、モグ、モグ

生クリームの滑らかな音、プリンが口の中で解ける微かな音ーーそれらが超至近距離のマイクを通じて、蓮介のイヤホンにダイレクトに流れ込んでくる。

(うわ、音だけで耳が幸せになる…!)

イヤホン越しに聴く彼の咀嚼音は、暴力的なまでに暴食をそそる、完璧な“音”だった。

汚らしさは一切なく、ただただ“美味しそう”と言う感情だけを脳に直接送り込んでくる。