私達の予想通り、いじめはエスカレートしていった。最初から凄かったけど、最近は輪にかけて酷かった。
上履きは隠されるようになった。隠されるだけだったらまだいいほうで、汚されることもあった。
わざとぶつかってきたり、バイ菌扱いされることもあった。
机の落書きと悪口が書かれたメモがあるのも相変わらず。
筆記用具やノートが隠されたり汚されたりすることもあった。
(いつになったら終わるかしら……)
この手合いのいじめだったら無反応に限る。反応をみて面白がっていることがほとんどだから。
(今回は逆効果かしら)
チラリと天野恵の方を見ると、口元に笑みを浮かべている。だけど視線は憎々しげだ。
「強がっちゃってキモいんだけどぉ」
ねぇ。と取り巻きに問う。取り巻きは表情を強ばらせて、私の方をチラチラ見ている。
(あまり労力を使いたくないのだけど)
そう思いながら私は席を立ち、天野恵に近寄った。その様子を高野昴が見ているのがわかった。
「それ、どういう意味かしら?」
私は淡々と言った。天野恵の顔から笑みが消え、刺し殺しそうな視線を向けてきた。
「1人じゃなにもできない弱者なのに。いじめだって判っててやってるならヤバイことになるわよ?理解してる?」
天野恵顔がカアァァと赤くなった。
高野昴が席を立ち私のところに来ようとした。それが解ったから、私のところに来ないよう、視線を送り制止した。高野昴は渋々といったように、その場に留まった。
「うるさいんだよ!頭がいいってだけで調子こいてんじゃねーぞ!」
天野恵がそう言った瞬間。
バチン。
逆上した天野恵が私に平手で頬を打った。
そのタイミングでチャイムが鳴った。
「席に着いてください。帰りのSHRを始めます。日直の方お願いします」
林鈴先生はそう言ったけど、私の方を凝視していた。だけどなにも言うことはなかった。
『頬が腫れてるけど、どうせただの喧嘩でしょ』
そんな「心の声」が聴こえてきた。それに対し私は
(やっぱりな)
ぐらいにしか思わなかった。初めから林鈴先生を頼ろうとは思わなかったけど。
SHRが終わり、教室に誰もいなくなってから、教室を出て学生寮に向かった。向かう途中の図書館の前で
「花崎さん」
高野昴が声をかけてきた。急いできたのか、息があがっている。呼吸を整えて
「学生寮に戻るんだろう?俺も行く」
高野昴はそう言うなり、私の手を引いて学生寮に向かう。
私が口を開くより先に高野昴は
「今回ばかりは大丈夫だなんて言わせないからな。一緒に病院に行く」
だからあの場で平手を受けたんだろ?と高野昴は言った。
「否定できないわね。お見通し、かしら」
「正論言って逆上して手を出す方がおかしいと思うけどな。良くはないけど、証拠になる」
高野昴の言う通り、病院に行き「学校で暴力を受けて怪我をした」と言って診断書をもらうつもりでいた。それもいじめの証拠になるから。
一部始終はたぶん高野昴が撮っているような気がした。それにしても
「どうして、私にここまでするの」
「言っただろ、味方だって」
そう即答した。
学生寮に着いて、原さんが居ることを確認すると
「原さん、花崎さんを病院に連れていきたいんですけどいいですか?」
と言った。原さんは唐突のことに困惑した顔をしていた。
「花崎さんがいじめのターゲットにされてて。逆上して叩かれたんです。だから病院に行きたくて」
高野昴の説明に原さんは
「私も行くわ。
花崎さん、保険証は手元にある?お金もある?大丈夫……じゃないわよね。誰かしらいじめなんてみっともない」
心配そうな顔で原さんはそう言った。
「保険証は手元にあるのでお金はだけ取ってきます」
私はそう言い、自室にお金を取りに行った。
3人で近くの整形外科に向かった。受付で事情を話し、診察を受けた。診断結果は全治2週間と言われた。診断書も書いてもらうことができた。
受診している間に2人はなにか話していたみたいだった。
私と原さんは学生寮に、高野昴は帰途についた。
ー☆ー
「高野君ありがとう。一緒にいてくれて」
花崎さんが診察中に原さんはそう言った。
俺は首を傾げていると
「あの子、いつも独りだから心配してたの。なにがあったとか言わないし、話そうともしないから……」
原さんの言葉に俺は確かにな、と思った。
それにしても。と原さんは言う。
「疑うつもりはないんだけど、いじめられてるって本当なの?」
「俺達のクラスメイトの天野恵っていう人です」
原さんの問いに俺はそう答えた。
「高校生にもなっていじめなんて……。みっともないと思わないのかしら?」
眉間に皺を寄せながら原さんは言った。
「花崎さんが学年1位だから妬んでいじめてるみたいですよ。俺は助けようとしたんですけど、花崎さんに止められて。いじめのターゲットにされないように守ってくれたんでしょうね」
「そうなの……。
私は花崎さんがいじめられている、なんて気づかなかったわ」
それを聞いて俺は
(隠すの上手いんだよな)
と思った。今回の件がなければ、原さんは知る由もなかっただろう。
「担任の先生は知っているの?」
「担任の先生なら、見て見ぬふりをしましたよ」
俺がそう言うと、原さんは愕然とした表情になった。
原さんがなにか言おうとしたとき、花崎さんが診察室から出てきた。
「高野君。花崎さんの味方でいてあげてね」
原さんの言葉に俺は笑って頷いた。
花崎さんの診断結果は全治2週間とのことだった。診断書も書いてもらうことができたと言っていた。
原さんと花崎さんは学生寮に、俺は帰途についた。
(証拠が集まったし、近いうちに父さんに相談しよう)
俺はその日の夜、俺はそう思った。
次の日、花崎さんは教室には来なかった。
上履きは隠されるようになった。隠されるだけだったらまだいいほうで、汚されることもあった。
わざとぶつかってきたり、バイ菌扱いされることもあった。
机の落書きと悪口が書かれたメモがあるのも相変わらず。
筆記用具やノートが隠されたり汚されたりすることもあった。
(いつになったら終わるかしら……)
この手合いのいじめだったら無反応に限る。反応をみて面白がっていることがほとんどだから。
(今回は逆効果かしら)
チラリと天野恵の方を見ると、口元に笑みを浮かべている。だけど視線は憎々しげだ。
「強がっちゃってキモいんだけどぉ」
ねぇ。と取り巻きに問う。取り巻きは表情を強ばらせて、私の方をチラチラ見ている。
(あまり労力を使いたくないのだけど)
そう思いながら私は席を立ち、天野恵に近寄った。その様子を高野昴が見ているのがわかった。
「それ、どういう意味かしら?」
私は淡々と言った。天野恵の顔から笑みが消え、刺し殺しそうな視線を向けてきた。
「1人じゃなにもできない弱者なのに。いじめだって判っててやってるならヤバイことになるわよ?理解してる?」
天野恵顔がカアァァと赤くなった。
高野昴が席を立ち私のところに来ようとした。それが解ったから、私のところに来ないよう、視線を送り制止した。高野昴は渋々といったように、その場に留まった。
「うるさいんだよ!頭がいいってだけで調子こいてんじゃねーぞ!」
天野恵がそう言った瞬間。
バチン。
逆上した天野恵が私に平手で頬を打った。
そのタイミングでチャイムが鳴った。
「席に着いてください。帰りのSHRを始めます。日直の方お願いします」
林鈴先生はそう言ったけど、私の方を凝視していた。だけどなにも言うことはなかった。
『頬が腫れてるけど、どうせただの喧嘩でしょ』
そんな「心の声」が聴こえてきた。それに対し私は
(やっぱりな)
ぐらいにしか思わなかった。初めから林鈴先生を頼ろうとは思わなかったけど。
SHRが終わり、教室に誰もいなくなってから、教室を出て学生寮に向かった。向かう途中の図書館の前で
「花崎さん」
高野昴が声をかけてきた。急いできたのか、息があがっている。呼吸を整えて
「学生寮に戻るんだろう?俺も行く」
高野昴はそう言うなり、私の手を引いて学生寮に向かう。
私が口を開くより先に高野昴は
「今回ばかりは大丈夫だなんて言わせないからな。一緒に病院に行く」
だからあの場で平手を受けたんだろ?と高野昴は言った。
「否定できないわね。お見通し、かしら」
「正論言って逆上して手を出す方がおかしいと思うけどな。良くはないけど、証拠になる」
高野昴の言う通り、病院に行き「学校で暴力を受けて怪我をした」と言って診断書をもらうつもりでいた。それもいじめの証拠になるから。
一部始終はたぶん高野昴が撮っているような気がした。それにしても
「どうして、私にここまでするの」
「言っただろ、味方だって」
そう即答した。
学生寮に着いて、原さんが居ることを確認すると
「原さん、花崎さんを病院に連れていきたいんですけどいいですか?」
と言った。原さんは唐突のことに困惑した顔をしていた。
「花崎さんがいじめのターゲットにされてて。逆上して叩かれたんです。だから病院に行きたくて」
高野昴の説明に原さんは
「私も行くわ。
花崎さん、保険証は手元にある?お金もある?大丈夫……じゃないわよね。誰かしらいじめなんてみっともない」
心配そうな顔で原さんはそう言った。
「保険証は手元にあるのでお金はだけ取ってきます」
私はそう言い、自室にお金を取りに行った。
3人で近くの整形外科に向かった。受付で事情を話し、診察を受けた。診断結果は全治2週間と言われた。診断書も書いてもらうことができた。
受診している間に2人はなにか話していたみたいだった。
私と原さんは学生寮に、高野昴は帰途についた。
ー☆ー
「高野君ありがとう。一緒にいてくれて」
花崎さんが診察中に原さんはそう言った。
俺は首を傾げていると
「あの子、いつも独りだから心配してたの。なにがあったとか言わないし、話そうともしないから……」
原さんの言葉に俺は確かにな、と思った。
それにしても。と原さんは言う。
「疑うつもりはないんだけど、いじめられてるって本当なの?」
「俺達のクラスメイトの天野恵っていう人です」
原さんの問いに俺はそう答えた。
「高校生にもなっていじめなんて……。みっともないと思わないのかしら?」
眉間に皺を寄せながら原さんは言った。
「花崎さんが学年1位だから妬んでいじめてるみたいですよ。俺は助けようとしたんですけど、花崎さんに止められて。いじめのターゲットにされないように守ってくれたんでしょうね」
「そうなの……。
私は花崎さんがいじめられている、なんて気づかなかったわ」
それを聞いて俺は
(隠すの上手いんだよな)
と思った。今回の件がなければ、原さんは知る由もなかっただろう。
「担任の先生は知っているの?」
「担任の先生なら、見て見ぬふりをしましたよ」
俺がそう言うと、原さんは愕然とした表情になった。
原さんがなにか言おうとしたとき、花崎さんが診察室から出てきた。
「高野君。花崎さんの味方でいてあげてね」
原さんの言葉に俺は笑って頷いた。
花崎さんの診断結果は全治2週間とのことだった。診断書も書いてもらうことができたと言っていた。
原さんと花崎さんは学生寮に、俺は帰途についた。
(証拠が集まったし、近いうちに父さんに相談しよう)
俺はその日の夜、俺はそう思った。
次の日、花崎さんは教室には来なかった。
