「それで? どうして茜さんは僕のこと避けてたん?」
抱き合った状態で二人で寝転がっていると、杜人が訊ねてくる。
茜は杜人の腕の中から彼の顔を見上げたあと、居た堪れなくて胸に顔を埋めた。
「茜さん?」
「聞いてしまったんです。杜人様の部屋で、杜人様が女中さんと話しているのを」
そこで、杜人の部屋で茜の仕事に対する杜人の本音を聞いたこと。本当は茜のことが嫌いで建前でよくしてくれているのだろうと思い、わざと距離をとって杜人をこれ以上好きにならないように、政略結婚らしく振る舞おうとしたことなどを白状した。
「もしかして、茜さん最後まで聞いてなかったん?」
「最後まで?」
杜人に指摘されてきょとんとする。
最後まで、と言われて、そういえばあの発言があってからすぐにその場を離れたことを思い出した。
「あのあと続きがあって、女中に言われたんよ。それは茜さんを大事に思っているから心配してるからそう思うんやないか、って。見事に図星だったわけやけど。そこでやっと気づいたんよ。僕は茜さんが好きやって。言われるまで自覚なかったのは恥ずかしいけどな」
「そうだったのですか」
「とはいえ、適当なことを言ってしまって傷つけたことは謝る。ほんまに申し訳ない。自分の嫉妬を上手く言葉にできひんからって悪い言い方してもうた」
「いえ。私もちゃんと最後まで聞けばよかった話なので、すみません」
お互い謝罪して顔を見合わせる。
そしてどちらともなく、ぷっと吹き出すと二人で笑い合った。
「それにしても、杜人様って結構素だと方言出ますよね」
「茜さんと一緒におると、気ぃが抜けてしまって。一応、普段は標準語にしようとは思うてるけど……直したほうがええ?」
「いえ。このままでいいです。杜人様が私に甘えてくださっているというのがわかるのは、なんだか嬉しいので」
へへ、と茜が照れながら笑えば、再び口づけられる。
そして、「あぁ、うちの奥さんが可愛いすぎる」としみじみと言われた。
「大袈裟ですよ」
「そんなことあらへん。茜さんは最高の奥様や。だからずーっと一緒におりたい。そうや! 弱い朝も茜さんに起こしてもらえるのやったら起きれるかも。なぁ、今日から一緒の部屋で寝よ?」
「えっと……私は構いませんが」
「よっしゃ。約束やで?」
はしゃぐ杜人に抱きつかれる。
その反応は普段の大人びている姿とは違って、なんだか子どものようで可愛らしい。
このような一面を見ると、人の噂など全然あてにならないと茜は思うのだった。
抱き合った状態で二人で寝転がっていると、杜人が訊ねてくる。
茜は杜人の腕の中から彼の顔を見上げたあと、居た堪れなくて胸に顔を埋めた。
「茜さん?」
「聞いてしまったんです。杜人様の部屋で、杜人様が女中さんと話しているのを」
そこで、杜人の部屋で茜の仕事に対する杜人の本音を聞いたこと。本当は茜のことが嫌いで建前でよくしてくれているのだろうと思い、わざと距離をとって杜人をこれ以上好きにならないように、政略結婚らしく振る舞おうとしたことなどを白状した。
「もしかして、茜さん最後まで聞いてなかったん?」
「最後まで?」
杜人に指摘されてきょとんとする。
最後まで、と言われて、そういえばあの発言があってからすぐにその場を離れたことを思い出した。
「あのあと続きがあって、女中に言われたんよ。それは茜さんを大事に思っているから心配してるからそう思うんやないか、って。見事に図星だったわけやけど。そこでやっと気づいたんよ。僕は茜さんが好きやって。言われるまで自覚なかったのは恥ずかしいけどな」
「そうだったのですか」
「とはいえ、適当なことを言ってしまって傷つけたことは謝る。ほんまに申し訳ない。自分の嫉妬を上手く言葉にできひんからって悪い言い方してもうた」
「いえ。私もちゃんと最後まで聞けばよかった話なので、すみません」
お互い謝罪して顔を見合わせる。
そしてどちらともなく、ぷっと吹き出すと二人で笑い合った。
「それにしても、杜人様って結構素だと方言出ますよね」
「茜さんと一緒におると、気ぃが抜けてしまって。一応、普段は標準語にしようとは思うてるけど……直したほうがええ?」
「いえ。このままでいいです。杜人様が私に甘えてくださっているというのがわかるのは、なんだか嬉しいので」
へへ、と茜が照れながら笑えば、再び口づけられる。
そして、「あぁ、うちの奥さんが可愛いすぎる」としみじみと言われた。
「大袈裟ですよ」
「そんなことあらへん。茜さんは最高の奥様や。だからずーっと一緒におりたい。そうや! 弱い朝も茜さんに起こしてもらえるのやったら起きれるかも。なぁ、今日から一緒の部屋で寝よ?」
「えっと……私は構いませんが」
「よっしゃ。約束やで?」
はしゃぐ杜人に抱きつかれる。
その反応は普段の大人びている姿とは違って、なんだか子どものようで可愛らしい。
このような一面を見ると、人の噂など全然あてにならないと茜は思うのだった。



