仲村様が帰ってから両親と姉とは会話がなくなった。
まるでお通夜だ。
そうして白無垢を着た私を見ると家族は涙した。
「ごめんね、すもも」
姉は泣いて何度も謝っていた。
本来なら家族に祝福される姿を夢みていたが現実はなんとも悲しい。
家の外には花嫁道中を見るために村人達が集まった。
輿に入った私は、中に腰掛け出発を待つ。
蛇神様を祀る神社に向かう手はずだがその後は
私は何をどうするかまでは聞かされなかった。
まさかそのまま蛇神様に食べられるのだろうか。
蛇神というからには大蛇かもしれない。
(もしそうなったら、痛くないよう丸呑みにしてもらおう)
出発が近づくに連れ、輿を担ぐ男達や村人の声が耳に入る。
「ほら、花嫁はあの子になったって」
「かわいそうよね。
でもまあ、でも茜さんが花嫁って訳にもいかないものね」
「そうよね。ほら、茜さんと比べてあの子は確か小さくてどこか陰気だったわよね」
「茜さんには婚約者がいるんだし仕方がないわよ」
花嫁役を逃れた子達が集まり話しているのだろう。
(大丈夫)
姉と比べられるのは慣れっこだ。
彼女達の言うことも本当だ。
ついに輿は運ばれて蛇神様が祀られている神社に運ばれる。
この花嫁道中は特殊だ。
普通ならば花嫁は旦那になる方の家に親族ともに迎えられ、そこで式を行う流れなのだが神社は傾斜が高い階段を登った先にある。よって付き人、家族に一緒に来てもらえるのはここまで。
さらに輿に乗るのは鳥居の前までと決まっていた。
それからは、どうするのだろうか。
緊張する中、輿は山の麓に着いた。
家族と抱擁を交わし別れ、ここからは輿を担ぐ男性数人と私だけだ。
しばらく輿は一旦、降ろされたまま一向に出発しない。
出発しないのだろうか?
時計があるなら針が一周以上回ったと思われた。
恐れていた事が先延ばしにされる分だけ命は伸びるかもしれない。しかしその分夜は近づく。
灯は準備しているとは思うが神社に続く階段は狭いと聞いていた。
暗くなるまでに登った方が良いはずだ。
いや、でもまだ命を失う覚悟はできない。
(もしかしたら輿を担ぐ人も疲れて休みが必要だからあえて休憩を設けたのかしら)
そう思い
「あの?」
輿の御簾から顔を出し男性陣に声を掛けようとするといきなり、外から誰かに腕を強引に引かれバランスをくずし前に倒れそうになった。
「きゃ!」
目の前にはさっきまで輿を担いでいた男達がニヤニヤと嫌らしい顔で笑って私を囲んで見ている。
嫌な予感がし固まっていると腕を握って離さない男の反対の手が私の城無垢の襟を引っ張り脱がそうとしてきた。
「いや、やめて!」
懸命に男から逃れようと頭を巡らせたが数人がかりいる屈強な男達に勝てる気なんてしない。
(ここで純潔を捨てるのは嫌だ!)
「誰か、助けて!」
私は叫んだ。
と同時に
ガッ!と鈍い音がし
「ぎゃあ」
「痛え!」
いきなり男達は呻き声を上げ取り乱した
「てめえ、離せ!」
気がつくと私と男たちの間に誰かがいる。
男の人だ。
しかし、奇妙だ。
まるで気配がないその人は見ただけで普通の人間とは異質な気がした。
「やめろ。次はお前達の首が胴から離れるぞ」
鋭い金色の眼光で暴漢を睨むと長い爪を生やした指を見せつけて静かに彼は威嚇する。
「覚えておけ!」
怖気付いた彼らはちりぢりに散らばりあたりには助けてくれた彼と私2人きりとなった。
彼の長い銀色の髪が金色の月と同じように光る。
「やはり、人間は汚いわい。お嬢さん大丈夫じゃったか」
まるでお通夜だ。
そうして白無垢を着た私を見ると家族は涙した。
「ごめんね、すもも」
姉は泣いて何度も謝っていた。
本来なら家族に祝福される姿を夢みていたが現実はなんとも悲しい。
家の外には花嫁道中を見るために村人達が集まった。
輿に入った私は、中に腰掛け出発を待つ。
蛇神様を祀る神社に向かう手はずだがその後は
私は何をどうするかまでは聞かされなかった。
まさかそのまま蛇神様に食べられるのだろうか。
蛇神というからには大蛇かもしれない。
(もしそうなったら、痛くないよう丸呑みにしてもらおう)
出発が近づくに連れ、輿を担ぐ男達や村人の声が耳に入る。
「ほら、花嫁はあの子になったって」
「かわいそうよね。
でもまあ、でも茜さんが花嫁って訳にもいかないものね」
「そうよね。ほら、茜さんと比べてあの子は確か小さくてどこか陰気だったわよね」
「茜さんには婚約者がいるんだし仕方がないわよ」
花嫁役を逃れた子達が集まり話しているのだろう。
(大丈夫)
姉と比べられるのは慣れっこだ。
彼女達の言うことも本当だ。
ついに輿は運ばれて蛇神様が祀られている神社に運ばれる。
この花嫁道中は特殊だ。
普通ならば花嫁は旦那になる方の家に親族ともに迎えられ、そこで式を行う流れなのだが神社は傾斜が高い階段を登った先にある。よって付き人、家族に一緒に来てもらえるのはここまで。
さらに輿に乗るのは鳥居の前までと決まっていた。
それからは、どうするのだろうか。
緊張する中、輿は山の麓に着いた。
家族と抱擁を交わし別れ、ここからは輿を担ぐ男性数人と私だけだ。
しばらく輿は一旦、降ろされたまま一向に出発しない。
出発しないのだろうか?
時計があるなら針が一周以上回ったと思われた。
恐れていた事が先延ばしにされる分だけ命は伸びるかもしれない。しかしその分夜は近づく。
灯は準備しているとは思うが神社に続く階段は狭いと聞いていた。
暗くなるまでに登った方が良いはずだ。
いや、でもまだ命を失う覚悟はできない。
(もしかしたら輿を担ぐ人も疲れて休みが必要だからあえて休憩を設けたのかしら)
そう思い
「あの?」
輿の御簾から顔を出し男性陣に声を掛けようとするといきなり、外から誰かに腕を強引に引かれバランスをくずし前に倒れそうになった。
「きゃ!」
目の前にはさっきまで輿を担いでいた男達がニヤニヤと嫌らしい顔で笑って私を囲んで見ている。
嫌な予感がし固まっていると腕を握って離さない男の反対の手が私の城無垢の襟を引っ張り脱がそうとしてきた。
「いや、やめて!」
懸命に男から逃れようと頭を巡らせたが数人がかりいる屈強な男達に勝てる気なんてしない。
(ここで純潔を捨てるのは嫌だ!)
「誰か、助けて!」
私は叫んだ。
と同時に
ガッ!と鈍い音がし
「ぎゃあ」
「痛え!」
いきなり男達は呻き声を上げ取り乱した
「てめえ、離せ!」
気がつくと私と男たちの間に誰かがいる。
男の人だ。
しかし、奇妙だ。
まるで気配がないその人は見ただけで普通の人間とは異質な気がした。
「やめろ。次はお前達の首が胴から離れるぞ」
鋭い金色の眼光で暴漢を睨むと長い爪を生やした指を見せつけて静かに彼は威嚇する。
「覚えておけ!」
怖気付いた彼らはちりぢりに散らばりあたりには助けてくれた彼と私2人きりとなった。
彼の長い銀色の髪が金色の月と同じように光る。
「やはり、人間は汚いわい。お嬢さん大丈夫じゃったか」


